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コンテンツ業界キャッチアップ

パズドラ大ヒットの秘密はビジネスモデルの進化
コンプガチャ後の荒野を再生する家庭用機の精神
――ソーシャルゲーム・バブル崩壊後の展望【後編】

石島照代 [ジャーナリスト]
【第39回】 2013年6月14日
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 「また、ロンドンとドイツのカフェで、数独(=ナンバープレイス)を熱心に取り組んでいるおばあちゃんを見かけ、『あ、SUDOKUが流行っているのって本当なんだな』と身を以て知りました。自分の中ではその2つの光景がなぜか繋がり、より幅広い人にゲームを遊んでもらえる可能性を感じた瞬間です」

コンテンツ屋の仕事とは、新たな形の
コミュニケーションやつながりを創造すること

 だが、どんなにビジネス的につらくても、池尻氏はコンプガチャのようなことはしたくないという。

池尻氏はSCE時代に『みんなのGOLF』シリーズなどを担当

 「“ゲームは時間とお金を消費するだけで得るものがない”といった、一段階低い娯楽というレッテルを世の中から貼られていたのですが、任天堂やソニーなどプラットフォーマーを中心とした業界全体でそのイメージを変え、社会的認知を得ようと努力をし続けてきました。

 たとえば、任天堂が提唱した脳トレや『Wii Fit』のような生活にもっと根差した大衆性のあるテーマのゲームの発売もその努力の一部だと言えるでしょう。その努力を根絶やしにするようなことは、コンシューマー出身としては絶対にやりたくありません。

 僕には二人の息子がいます。そんな僕が目指すのは、自分の息子はもちろんのこと、祖父母や両親、そして孫の世代まで愛されるゲームを作ることです。もちろん、今すぐうまくいくとは思っていませんが、粘り強く取り組んで行きたいと考えています」

 いわゆるソーシャルゲームビジネスを見ていると、「プレイヤーはいったい誰なのか」という疑問が出てくる。なぜなら、ソーシャルゲームの場合、「ゲーム」がふたつあるような気がするからだ。ひとつは「消費者が遊ぶゲーム」、そしてもうひとつは「運営元が消費者に延々とお金を払わせ続けられるかどうか、というゲーム」である。

 すべてのビジネス行為をゲーム行動でたとえた場合、ビジネスとは「客にお金を払ってもらうゲーム」と見なすことも可能だろう。たとえば、自動車メーカーなら、「車を売るゲーム」に参加しているという具合だ。ただし、可処分所得が豊富な人や車が趣味の人以外は頻繁には車を買い換えないので、ソーシャルゲームのように企業が「客にお金をダラダラと払い続けてもらうゲーム」にする、とルールを変更することは至難の業だ。しかし、それが可能なビジネスがある。それはサービス業だ。

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石島照代
[ジャーナリスト]

1972年生まれ。早稲田大学教育学部教育心理学専修を経て、東京大学大学院教育学研究科修士課程在籍中。1999年からゲーム業界ウォッチャーとしての活動を始める。著書に『ゲーム業界の歩き方』(ダイヤモンド社刊)。「コンテンツの配信元もユーザーも、社会的にサステナブルである方法」を検討するために、ゲーム業界サイドだけでなく、ユーザー育成に関わる、教育と社会的養護(児童福祉)の視点からの取材も行う。Photo by 岡村夏林

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ゲームソフトをゲーム専用機だけで遊ぶ時代は終わった。ゲーム機を飛び出し、“コンテンツ”のひとつとしてゲームソフトがあらゆる端末で活躍する時代の、デジタルエンターテインメントコンテンツビジネスの行方を追う。

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