最新鋭「もがみ型護衛艦」豪海軍の導入がもたらす国益、インド太平洋安全保障の“衝撃度”海上自衛隊護衛艦「もがみ」 出典:海上自衛隊ホームページ

11隻を建造、29年から納入
日本では初の大型装備品の移転

 オーストラリア政府は豪海軍が導入を計画している次期フリゲート艦について、日本が提案する最新鋭「もがみ型護衛艦」(FFM)を元にした新型艦を共同開発で導入することを決めた。

「もがみ型護衛艦」は、中国の海洋進出などへ対応が迫られるなか、少子高齢化で自衛官が不足する状況の下で、レーダーに捉えにくいステルス性能や高速で航続距離も長いなどの高性能・多目的艦艇として開発され、従来の護衛艦の半分の人員で稼働できるのが特徴だ。

 装備の老朽化と人員不足が課題となっている豪海軍の事情に合ったことが選定の決め手になったようだ。オーストラリアは老朽化したフリゲート艦を新型艦11隻に切り替え、11隻のうち3隻を日本で、残りはオーストラリアで建造する計画。2029年から納入を始める予定だ。

 共同開発という形になるが、日本にとっても護衛艦のような大型の装備移転、輸出は初めてだ。将来、新型も含め日豪合わせて35隻程度の「もがみ型護衛艦」が活動することになる。

 日本の防衛産業にとっては大量生産による安定収益が見込めるほか、将来はオーストラリア以外の他国への販路拡大の期待が膨らむが、それ以上に大きいのは、インド太平洋地域の安全保障環境への影響だろう。

 同一思想で建造、戦力化された相互運用性の高い新鋭艦艇の配備は軍事的にも強力な効果を持つ。