
日豪で新フリゲート艦の建造
米国の造船復活に日本が投資合意
オーストラリアのリチャード・マールズ副首相兼国防相が8月5日、海軍の次期汎用フリゲート艦に、三菱重工が提案した、海上自衛隊の護衛艦(「もがみ型」)をベースにする「もがみ能力向上型」を導入すると発表した。
日本側と共同開発・生産し、2029年の納入開始を見込み、最初の3隻は日本が建造する。日本の大型装備品が“輸出”されるのは初めてといっていい。
前後して日本と米国の間でも、関税交渉が合意され、米国の相互関税や自動車関税の15%への引き下げと引き換えに、日本の造船の対米投資が盛り込まれた。
日米間では、昨年4月の首脳会談で、東アジアなどに展開する米海軍艦艇を日本で補修、整備する体制を強化することが合意されたが、協力が海軍艦艇の建造などにも広がることになる。
中国が東シナ海や南シナ海などでの軍事活動を活発化させているのを受け、日米豪3国で連携して抑止力や対処能力を高める防衛協力が進むが、一連の動きはその産業基盤の強化を狙うものといっていい。
インド太平洋地域の安全保障の確保に資するだけではなく、衰退が激しい米豪の造船産業の再生の足場になり、かつての造船王国の地位を韓国や中国に奪われた日本の造船業界にとっても、収益基盤の安定化が期待できる。