日々の忙しさとどう向き合うか

 しかしこれだけ成長著しいと、それこそ忙しいでしょう。「忙しい」という言葉は「心が亡くなる」と書きますよね。日々の業務であまりに忙しいと心が滅びてしまって、物事の本質や経営の原理原則をとかく忘れてしまうんです。だから忙殺されないようにしなくてはね。

瀬戸 おっしゃるとおりです。

 私はジョンソン・エンド・ジョンソン時代、イギリス人の上司に「忙しいですか」と聞いたことがあるんですよ。すると彼が「忙しくないよ」と答えてね、その後に「I am productively engaged.」と言ったんです。直訳すると「生産性高く仕事に従事している」という意味。イギリス人らしい洒落た台詞だと感心しました。やはり「忙しい」と口にするようではまだまだですね。

瀬戸 僕も社員のみんなに対して、忙しいという素振りすら見せてはいけないと思っています。社長が忙しそうにしていたら、社員は話しかけるのにも躊躇します。それは絶対によくない方向に行くので、むしろ暇だと言えるようにならなければと。

 新先生なんて、お疲れではと心配になることすらあるのに、いつも「お疲れさま」なんて仰らないですよね。「お元気さま」と声を掛けてくださる。

「周囲をヤル気にさせるのも経営者の仕事」。その言葉を体現するお2人の心には、常に“情熱の火”が燃えている。

 「お疲れさま」って言われるほど疲れていませんから、「お元気さま」でいいんです。先日ね、妻と2つの言葉を禁句にしようと約束したんですよ。その2つの言葉は「忙しい」と「疲れた」。でもその5分後に「あ~疲れた」って言っちゃったんだけどね(笑)。

 人間は疲れたと思うと疲れ、悲しいと思うと涙が出る。だから自分で自分をいい意味で騙しながら常に奮い立たせること。そんな姿を見せて、周囲をヤル気にさせるのも経営者の仕事ですよ。

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 若手経営者のために自分の経験を活かすのが生き甲斐だと語る新氏から、吸収できるものすべてを吸収して躍進を続ける瀬戸氏。親子ほどの年齢差のあるお2人ですが、経営にかける思いと情熱は同じでした。

 次回は、7月1日(月)に更新を予定しています。


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