若手社員がAIを使わない反面、日本で最も生成AIを活用しているのは実は、大学生です。これは彼らにとって大きなチャンスでもあります。大学生が数年後に就職すると、少し上の生成AIをあまり使ってこなかった世代を飛び越えて活躍できる可能性があります。
ただし、生成AIが浸透すればするほど、成果物にはより高いクオリティが求められるようになります。全員がAIを使用するようになれば、AIの使用程度では差別化できなくなり、その上でのオリジナリティや個性が勝負どころとなります。
しかも、テクノロジーは必ずしも人を楽にするとは限りません。産業革命では、肉体労働が代替され、人間は、労働から解放されて楽になりましたが、生成AIの普及のような、知的作業の代替の場合は全く楽になりません。
入社後のキャリアを
楽しく、ワクワクと捉えるために
たとえば、私も、自分の研究室では、AIを使ってレポートを書かせていますし、80人の学生のレポートをAIに読ませて採点しています。
誰もがAIを使う前提で、独創的なものでなければ高得点を取れないとなると、従来よりもはるかに高いレベルのレポートを作成しなければならないので、学生は、以前よりレポート作成に時間がかかると言っています。
メール、インターネット、携帯電話が普及した際も、当初は便利になると思われましたが、結果的にはより速いレスポンスが求められるようになり、むしろわれわれは昔より忙しくなっています。今回の生成AIによる生活の変化はそれ以上で、精神的な忙しさの度合いが格段に増すのは間違いないでしょう。
わずか3年前には現在のような生成AI時代が来ることを誰も予想できませんでした。同様に、10年後の状況も全く予測することができません。
しかし、これは決して悲観すべきことではない。私たちは常に変化する環境の中で仕事をしており、表面的には同じ職業に見えても、実際の業務内容は絶えず変化し続けている。それは、とても楽しく、ワクワクすることではないでしょうか。
若い人たちはともすれば、入社後のキャリアを直線的に考えがちですが、実際には仕事の価値や内容が劇的に変化していくダイナミックスこそが面白さの源泉です。そのことを念頭に置いて、就活に取り組んでほしいと思います。









