総予測2026Photo:PIXTA

首都圏のマンション価格は歴史的な高騰が続いている。急激な値上がりに「バブル的な過熱だ」と警鐘を鳴らす声も多く、日本銀行の利上げ路線によって不動産価格は下落に転じるとの指摘もある。2026年も不動産市場の活況は続くのか。それともバブルが弾けるのか。特集『総予測2026』の本稿では、26年の不動産市況の行方を展望する。(日本不動産研究所主席研究員 吉野 薫)

金利上昇は主要リスクと認識も
不動産売買市場に変調なし

 日本銀行は2025年も金融正常化を推し進めた。今後も金融緩和の縮小を継続する方針は明確である。こうした中、多くの不動産投資家は、金利上昇を不動産市場の主要なリスク要因だと認識している。

 しかし、不動産売買市場で特段の変調は見られない。地価の上昇は継続し、地価上昇エリアの地理的な裾野も広がっている。投資用不動産市場の取引は活発で、利回りは低位に抑制されている。

 こうした不動産市況の安定性を支える主要な前提条件が二つある。

 まず不動産市場への資金の流れが潤沢なことだ。不動産への金融機関の貸し出し態度は積極的なまま保たれている。

 不動産業向け貸し出しは量的にも増勢を強めており、25年9月末時点の不動産業向け貸出残高は前年同期比7.2%増だった。住宅ローン残高の持続的な増加も継続している(下図参照)。

 国内外の投資家による日本の不動産投資に対する関心も依然として高い。

次ページでは、不動産市場で活況が続くための「もう一つの条件」と、「バブル」とも指摘される26年の不動産市況の見通しや、高市政権リスクについて解説する。