無理なお願いをするときには
相手の願いを聞き入れる
チームで働く際のメンバーをどう巻き込むか、相手の気持ちをどうおもんぱかるかにも腐心している。
以前、工場で生産管理を担当していたときのこと。他部署に急な作業を依頼する場面では、「うわべだけでもいいから」良い関係をつくるよう努力していた。仲のいい人からであれば、頼み事も引き受けてくれやすい。
「こまめに雑談をしにいき、良い雰囲気をつくるよう計算して行動していました」
相手の立場に立って考えることも重要だ。こちらが無理なお願いをする場合、別の部分では相手の願いを聞き入れる「バーター」の関係にする。「Aの部品を早く仕上げてくれたら、Bは納期を遅くする」といった配慮を示すのだ。
これは、中学時代の合唱祭でリーダーをしていたときの経験による。思春期の男子は、恥ずかしがって歌わない。1年生のときは「歌いなさいよ」とただ怒っているだけだったが、2年生になって、男子は「女の子にモテたいからダサいことはしたくない」という気持ちがあると気付いた。
そこで、歌っている男子を目の前で「格好いい!」と褒めまくり、「歌わないことは逆にダサい」という価値観と雰囲気をつくり出し、自然に全員が参加するよう仕向けたという。
しぶや・まこ/1991年生まれ。山形県鶴岡市出身。茅葺き職人を目指しながら、猟師としても活動していた2018年7月、仕事中に茅葺き屋根から落下し、脊髄損傷による障がいを負い、車いすの生活に。性や排せつについても包み隠さず自身のYouTubeで発信している。車いす生活でも自分らしく生きる姿を届ける。 写真提供/本人






