今回の円高・ドル安トレンドは、2007年6月22日の124円から始まりました。それから、ちょうど丸2年が経過したのです。
しかし、それは円高基調の「平均」に比べると、まだまだ「平均」以下でしかないのです。
過去20年間において、円高トレンドは3回ありました。その持続期間は1年3ヵ月~5年で、平均すると3年1ヵ月になります。そして、その間のドル下落率は25~50%で、平均では35%でした。
つまり、円高・ドル安トレンドの「平均」は、3年1ヵ月続いて、その間にドルが35%下がるというものです。
今回の円高トレンドにおける、これまでのところの円高値・ドル安値は2009年1月につけた87円です。もし、あれで円高・ドル安トレンドが終わっていたとすると、期間は1年7ヵ月、ドル下落率30%だったということになります。
そうすると、今回の円高トレンドが「平均」以下にとどまったということになるわけです。
「100年に一度」で
「平均以下の円高」はあり得ない?
今回の円高トレンドは、「100年に一度の危機」とされている中で起きています。危機の震源地である米国ではそれをしのぐべく、政策金利を史上初の実質ゼロまで引き下げ、さらに財政赤字の対GDP比率を第二次世界大戦以来の水準まで拡大させてきました。
それにもかかわらず、今回のドル安・円高トレンドが「平均」以下で収まるといったことが、果たしてあるのでしょうか?
あの87円までの円高・ドル安は、とてもすさまじい動きでした。しかし、それでも「ドル下がり過ぎ」の限界といった動きではなかったようです。
私は、長期的な相場の行き過ぎについて、5年移動平均線からのかい離率で確認することを基本としています。
それによると、ドルは過去に5年移動平均線を3~4割も下回ったことがあったのに対し、今回は2割下回ったにとどまっています。ドルが長期的に、「下がり過ぎ」の限度に達したということではなかったわけです。
それでは、ドルはなぜ87円から、一時は100円を超えるまで反発したのでしょうか?
それは、長期的には「下がり過ぎ」の限度に達したわけではなくても、短期的には「下がり過ぎ」になっていたからでしょう。