金融インサイド#17Photo:PIXTA

地方銀行による不動産仲介業務への参入に赤信号がともっている。全国地方銀行協会は2005年度から政府に規制緩和を求めてきたが、「検討を予定」から前進する気配がないのだ。金融庁も前向きな姿勢を示しているにもかかわらず、議論がなぜ進まないのか。長期連載『金融インサイド』の本稿では、その理由と論点を解説するとともに、背後にいる“大物議員”の存在を明らかにする。(ダイヤモンド編集部 高野 豪)

地域金融力強化プランで要望も
「中長期的な整理必要」で進展せず

 地銀の悲願である「不動産仲介業務の解禁」。長らく議論が停滞していたが、2025年12月に策定された「地域金融力強化プラン」がその流れに一石を投じた。

 プランの具体的な施策を取りまとめるため、金融審議会(首相の諮問機関)の作業部会は、業界団体にヒアリングを実施。全国地方銀行協会(地銀協)は、事業承継と地域の再開発に限り、不動産仲介業務を実施できるよう求めていた。

 だが、金融庁は作業部会で優先的に検討すべき論点ではなく、中長期的な整理が必要な論点と位置付け、要望の検討を見送った。

 その理由について、同庁担当者は「地域金融力の強化という観点だけでは、議論できる論点ではない」と述べる。銀行が他業を営むことによるリスクの遮断や利益相反の防止、優越的地位の乱用防止など、総合的な観点からの検討が必要となるためだ。

 25年12月に公表された作業部会の報告書には、業・制度そのものの在り方を含む総合的な検討が必要な論点について「今後、適時適切なタイミングでの検討が行われることを期待したい」と明記。同庁はこの報告書を受け、銀行による不動産仲介業務の扱いについて今後検討するとみられる。

 一見すると議論は進展しそうだが、実は議論が当面の間は進まない「赤信号」の状態にある。

 次ページでは、地銀による不動産仲介業務への参入が実現しない背景と反対勢力との関係などを詳報する。「赤信号」の理由の裏には、大物議員の存在が垣間見える。