度重なる事故で長期停止した千葉製油所が今月、再稼働を果たす。有利子負債が8429億円にまで膨らむなど財務は大幅に悪化している。会社が主張する通りに再建の道筋はついているのか。

 2013年はコスモ石油にとってまさに“正念場”の年となる。

 11年の東日本大震災以降、長期停止していた千葉製油所が7月、本格稼働する。時を同じくして香川県の坂出製油所は閉鎖。製油所の最適稼働で収益力を回復し、石油開発や石油化学事業における戦略投資のリターンを回収することで、財務体質を改善させるプランがスタートを切る。

 主力拠点である千葉が2年もの間止まっていたことで、業績は大打撃を受けた。

 13年3月期の最終損益は、事故に伴う522億円の特別損失などが影響し、859億円の赤字となった(図1)。最終赤字は2期連続。さらに今期は1986年の会社設立以来、初の無配に転落した。

 震災発生直後、千葉製油所では大規模な爆発火災事故が発生。1年後の12年3月、2基ある精製設備のうち、ようやく1基の再稼働を果たした。

 しかしその3カ月後、タンクからアスファルトが漏れ、海上に流出する事故が発生して設備はまたも停止した。市原市消防局が1カ月にわたって立ち入り検査を実施し、801項目にも及ぶ不備を指摘されてしまった。

 度重なる事故で財務は大幅に悪化。韓国からの輸入や他社から製品を購入して販売に充てたため、代替供給コストがかさんだ。一方、国内の燃料油市況は低水準のまま。資金繰りの悪化から有利子負債は8429億円にまで膨らみ、自己資本比率は13.2%にまで低下した(図2)。

 赤字計上により純資産が減ったことで、昨年9月には協調融資2本、計560億円が財務制限条項(融資の条件)に抵触する事態にも陥った。