一番閉口するのは、「嘘が多い」子
「問題集をなくした」「お金を落とした」「おごってもらった」
もちろん事実もありますが、確認すると、話のつじつまが合わなくなり、嘘がバレます。
多くの場合は、親や先生に叱られないために嘘をつきます。
子どもも自分の身を守りながら、生きているのでしょう。
ただ、あまり頻繁だと、その子やその家庭への信頼が薄れてきます。
また、嘘の多い子の家庭環境は問題が多いのです。
私の塾では、「保護者セミナー」などを通じて、親御さんとのコミュニケーションを密にとっていくため、これまでとりわけ大きな問題はありませんが、それでも行き違いが生じることがあります。
普段は、わが子の愚痴や悩みをこぼすお母さんが、子どもがささいなことで塾や友達のことで苦痛を訴え始めると、見事に豹変します。
そして100%、「うちの子は被害者である」という立場をとります。
しかし、事実を調べていくと、子どもが嘘をついていたり、勘違いだったりすることも多いのです。
これに関連して、大変残念だった例があります。
中学受験を目指すⅩくんは、よく問題集を忘れるので、かなりの期間、個別に対応していたことがあります。
確認するたび、「家にはない」「なくした」「塾に置き忘れているはず」をくりかえすので、自宅に電話をして、お母さんに問題集の確認をしても、「忙しいから、後にしてほしい」のくりかえしです。
いったん時間を約束してから連絡をしても、不在が多く大変困っていました。
事情を探っていくと、お母さんには、以前、通っていた進学塾の先生とそりが合わず、やめた経験がありました。
学習塾業界全般に対して不平・不満が強く、入塾時から初対面の私にも、かなり批判的な態度でした。
Ⅹくんが、実力よりかなり上の中学を目指していたこともあり、お母さんの思っていたⅩくんの実力と私の見解にかなり差があったことも不満のようでした。
Ⅹくんは基礎力がなく、「やりなおし学習」が必要でした。
しかし、一向にお母さんはそれを認めませんでした。
ある日、Ⅹくんの希望で新しい問題集を渡しました。
それが、お母さんの逆鱗に触れたのです。
「勝手なことはしないでください。問題集は私が管理しています」
内容が無茶だったので、Ⅹくんに確認すると、
「お母さんはいつもそうだ。勝手にしまうから、場所がわからない。聞くと叱られる」
と、うつむいてしまいました。
ただ、お母さんにも、大変な事情があったのだと思います。
問題集を配布後、Ⅹくんは、入塾当時70点台だった国語のテストが、2ヵ月後には92点に上がりました。
行き違いは、確認や相談をすることで、ほとんどの問題は解消されます。
感情的な言動は、お互いの信頼関係にヒビが入ることを感じ、とても残念でした。