関心が高い「原発」だが
論戦は盛り上がらず

 本連載第4回で紹介した、津田大介氏が編集長を務める政治メディア「ポリタス」だけでなく、毎日新聞社など大手メディア各社のインターネット調査では、有権者の関心が高い参院選の争点ランキング上位には「原発」がランクインしている。

 ネットに限定しない全国世論調査の結果では、「年金・医療」などの社会保障関連、「景気対策」が上位に来るものの、「原発」はそれらに次ぐ位置だ。いずれにせよ有権者の関心は高く、各政党の方針を知りたいと思っていることが読み取れる。

 ところが、これまでの選挙戦で各政党の有力者の発言を見ていても、エネルギー政策や原発問題に関して活発な論戦が繰り広げられている印象は薄い。実際、多くの原発・エネルギー問題の専門家が「今回の選挙では争点になどなり得ないし、盛り上がることはないだろう」と失望の表情を浮かべる。

 まず、各政党の主張を簡単にまとめてみよう。

◆ 自民党 → 国が責任を持って、安全と判断された原発の再稼働については、地元自治体の理解が得られるよう最大限の努力をいたします。

◆ 公明党 → 新しいエネルギー社会を創造しつつ、原発への依存度を段階的に減らし、可能な限り速やかに“原発に依存しない社会・原発ゼロ”を目指します。

◆ 民主党 → 「40年運転制限制を厳格に適用する」「原子力規制委員会の安全確認を得たもののみ、再稼働とする」「原発の新設・増設は行なわない」の3つの原則を厳格に適用する中で、2030年代に原発稼働ゼロを可能とするよう、あらゆる政策資源を投入します。