世界の多くの学生は、企業の職場に入り込んでチームの大事な一員として本気で業務を行い、厳しいプレッシャーの下で、目に見える成果や貢献を毎日求められます。その経験を通して、業種や職種、企業に対しての理解度を深め、キャリアビジョンが研ぎ澄まされていくのです。自分のビジネスポテンシャルや、向き不向きも理解できる。これをしない日本人学生が、面接時に大きく劣後するのも当然です。

 では、なぜ日本企業はインターンを本気で受け入れないのでしょうか?それには単純な理由があります。

 経団連(日本経済団体連合会)が企業の就職・採用活動ルールを定めた倫理憲章(今は指針に名称変更)の定めにより、企業は大学4年生の4月1日以降(最新の指針では8月1日)でないと選考ができないからです。つまり、大学3年生の夏に行われるインターンでの選考は禁じられているのです。採用に繋がらないのに数カ月も学生を受け入れるのは企業にとって負担が甚大であり、結果として、インターンという名を借りて実際は1日や数日間、企業や仕事紹介のためのプロモーションやグループワークを中心としたものに終始してしまうのです。

 これでは、参加する学生は誰も自分の将来像を描けません。新しいルール下でも、インターン実施時期として最適な夏休みが採用選考のスタートともろに重なるため、本格インターンの導入は残念ながら厳しそうです。東京大学が提唱していたように、日本の大学は世界標準に合わせて全面的に秋入学とし、大学4年になる直前の夏休みは積極的にインターンを行い、秋から就職活動というのが一番スムーズな流れだと考えます。

 4年間の大学生活で身に付けるべき専門性も問われず、実践形式でビジネス力を測られることもなく、課外活動の話だけで内定が獲得できるのは、実は世界で日本だけ。日本の就活は、そういう意味では世界一甘いです。就職率の低さが社会問題視されることも多いですが、諸外国に比べればはるかに高いです。新卒の採用枠がこれほど多い国もありません。しかし、日本企業が今後、海外学生の採用を本格化するとすれば学生同士の競争が激化するため、日本人学生も企業や制度のせいばかりにしておれず、自己研鑽に励まざるを得なくなるでしょう。

 次回は、日本企業でも導入しやすい日本流グローバル人事制度について提案し、優秀な外国人の獲得、定着だけでなく、日本人の若手の競争力をあげるための施策も紹介したいと思います。           (次回は7/26公開予定です)