ズバリ、企業側にも大きな責任があります。

 日本の大手企業は、数十年前より変わらず終身雇用型を貫いており、新卒一括採用後に40年近く雇用することを前提としています(実際は多くの企業において定年までの雇用維持はかなり厳しくなっており、早期退職等が推進されてはいますが)。したがって、偏った領域にしか通用しない専門家よりは、ゼネラリストとしてどんな分野や職種の仕事でもまんべんなくこなせるタイプの人材を欲しがります。会社の業績や方針等で、いつ部署が縮小等されるか分からないためです。

 そのため、専門性よりは人間力全般を見るために、採用面談時は学業より課外活動の話に集中することになります。つまり、東大法学部でトップの成績保持者だとしても、採用選考時に法務部を約束しない大企業がいまだ多数派です。学校の授業にまったく出席しなくても、一流企業には入れる。

 これでは、大学生側が学業に力を入れなくなってしまうのも、やむを得ないでしょう。企業側の言い分も理解はできますが、中途採用では各社職種別採用をしているわけですから、それを拡大することが無理とは思えません。人気ランキング上位10社の全企業が職種別採用を部分的にでも導入すれば、大学生の過ごし方は必ず変わります

 大学3年生の秋に、茶髪も長髪も全国一斉に短い黒髪に変わるあの拘束力は、大学生に対して日本企業の採用活動が最も影響力があることを証明しています。企業側もこの事実をうまく利用して、日本人学生のレベルアップに繋げて欲しいと思います。

 日本のインターンシップも、大問題です。

 日本人学生は、有力国でもっとも職務経験が乏しいと断言できます。世界中で夏休み期間を対象とした企業インターンは2ヵ月以上が標準的であり、大学や学部によっては長期インターンが卒業資格で必須という場合もあります。日本を含む各国の就活生と面接を重ねて、我々が痛感したのは、日本人学生は自分が何に向いていてどんな働き方をしたいのか、具体的イメージがかなり乏しいということです。

日本企業は学生の資質を見極めるのに、志望動機を徹底して掘り下げる手法をよくとりますが、職場の様子を見たことも感じたこともない学生にとっては酷な話です。人気ランキングやブランド力で判断するのも仕方がありません。人気ランキングの上位企業に応募が集中するのは、こうした背景もあるからです。