安倍内閣の経済政策が、実体経済に徐々に影響を与えつつあると言われることがある。金融緩和政策によって企業活動が活発化し、これまで動意が見られなかった設備投資にも増加の兆しが見えるというものだ。

 しかし、現実に起こっていることは、そうしたストーリーとはかけ離れたものである。設備投資の増加は、官需と住宅建設の駆け込み需要に起因するものであり、一過性のものに過ぎない。製造業からの機械受注は対前年比で減少しており、銀行の製造業向け設備投資貸出も減少している。

機械受注は官需が主導

 まず、2013年5月における機械受注の主要需要者別受注額(季調系列)を見ると、図表1のとおりである。総額は、対前月比で12.0%増(対前年同月比で17.7%増)とかなり高い伸びになった。

 この大きな原因は、官公需が著しい伸びを示したことである。図表2に見るように、官公需は最近までは月間2000億円台だったが、13年5月で急に増加して、約3600億円となった。これは、今年の1月に編成された12年度補正予算が執行されつつあることに伴うものだ。