休暇は自分への投資、ワーク・ライフ・インテグレーションの発想
さらに、とくに結婚しても仕事を続けたいと思っている女性にとっては、単に休暇を取りやすいだけではなく、子育てがしやすい環境にあります。
日本では、女性が「仕事(キャリア)を取るか、家庭を取るか」といった選択に迫られることがありますが、INSEADの同級生のほとんどは、仕事と家庭を両立させています。子ども3人を育てている人も少なくありません。
私の親友の1人は、卒業後、ベイン・アンド・カンパニーでコンサルタントになり、3人の子どもを立派に育て上げました。それだけではなく、最近では、仕事以外の社会貢献活動にも力を入れ、フランス政府からレジオン・ドヌール勲章(国家功労者賞)を受賞したほどです。
一方で、恵まれた環境で働くヨーロッパ人の友人たちと比べると、ハーバード時代の同級生達は、仕事と家庭の両立に悩んでいる人が多いと思います。子育て期間中、弁護士の場合は専業主婦になったり、医者はパートタイムで働いく人が少なからずいます。
その背景としては、アメリカの厳しい競争社会があり、それに勝ち抜くためには長時間勤務を強いられることが挙げられるかもしれません。
子どもの成長を見届けるために子育てに専念したい方もいるでしょうし、必ずしも経済的には働く必要がない場合もあるでしょう。しかし、仕事を続けたくても、ワーク・ライフ・バランスが取れずに不本意ながら辞めざるを得ない人を見ると、働き方については、ヨーロッパのほうが理解のある環境だと言えます。
もちろん、ヨーロッパと一口に言っても、女性の仕事のしやすさは国によって違います。ヨーロッパで最も女性の社会進出が進んでいる国は北欧諸国ですが、休暇制度も充実していて人々の幸福度(GNH:国民総幸福度)も高く、また、所得水準も高い国々です。
私は、これからは「ワーク・ライフ・インテグレーション(仕事と人生の一体化)」の時代だと思います。つまり、仕事ばかりをするのではなく、仕事も人生も楽しみ、相乗効果を得ることです。
すでに「仕事ばかりしていると、仕事に必要な能力が身につかない」時代になりつつあります。とくにヨーロッパでは、仕事場と家の往復だけをしている人は、仕事以外の話題ができず、「おもしろくない人だ」と見なされてしまいます。
仕事以外の多様な人たちとの出会いは、キャリアと人生の選択肢を広げるチャンスやアイデアを与えてくれます。忙しいから「休暇を取る余裕なんてない」と考えている人も、自分への投資として、休暇を取得して人生について考えてみるのはいかがでしょうか?
次回更新は、8月7日(水)を予定。
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