写真提供:augment AI
ソニーグループが手掛けていたスマートウォッチ「wena(ウェナ)」シリーズが、「世界最小スマートウォッチ」として帰ってくる。ソニーの同事業責任者が同社を退職し、独立して事業運営を開始したのだ。長期連載『スタートアップ最前線』の本稿では、復活を遂げたウェナの成長戦略を明かすとともに、新会社トップが語る、新規事業のスピンアウト「成功の秘訣」と「100%失敗するパターン」を公開する。(ダイヤモンド編集部 今枝翔太郎)
元ソニー技術者が新会社でスマートウォッチを復活
クラウドファンディングの予約販売にファンが殺到
今年3月、国内スタートアップから世界最小スマートウォッチ(1.0インチ以上のフルカラーディスプレーを搭載した主要メーカーのスマートウォッチを対象に、各社公開仕様およびアルキメデス法による実測値を基に比較。augment AI調べ、2026年3月17日時点)が誕生した。ソニーグループから独立した時計メーカーaugment AIが開発した「wena X(ウェナクロス)」だ。現在はクラウドファンディングでの予約販売のみで、支援者に後日商品を発送するスタイルだが、来年には一般販売を予定している。
ウェナシリーズは、ソニーが開発したスマートウォッチで、今年で発売から10周年を迎える。同シリーズは「腕時計に取り付けられるスマートウォッチ」をコンセプトに掲げ、進化を続けてきた。ウェナ自体はバックル部分のモジュールで、ウェナ単体でスマートバンドとして利用したり、市販の腕時計を組み合わせたりと、ユーザーの好みや場面に応じて装着の仕方を変えることができる(下写真参照)。
ウェナはスマートバンドとして利用することも、市販の腕時計と組み合わせて着用することも可能だ 写真提供:augment AI
第4世代となるウェナクロスは、これまで白黒表示だったディスプレーがフルカラーになった他、親指と中指を「パチン」と鳴らすといったジェスチャー機能によってウェナ本体の操作が可能になるなど、従来製品にない特徴を備えている。スマートウォッチを24時間装着して健康管理をしたいユーザーにとっては、リアルタイムOSベースの独自OSを搭載することで約1週間の電池持ちが実現したことも魅力だ。
ウェナは着実な進化を遂げてきたが、実はこの10年間には大きな苦難があった。ウェナの初号機はソニーの新規事業創出プログラム(現在のSony Acceleration Platform)で16年に誕生。その後、セイコーやシチズンとコラボレーションするなどして販売を強化したものの、ソニーは事業終息を決定。ソニーは今年2月に第3世代の「wena 3」のサポートを終了している。
ソニーの技術者でウェナ発案者の對馬哲平氏は、同事業を復活させるべく、ソニーを退職して独立し、augment AIを設立した。
なぜ對馬氏は、日本を代表する企業であるソニーの庇護の下から離れ、事業運営に当たることを決断したのだろうか。新会社の代表取締役CEO(最高経営責任者)としてウェナ事業を切り盛りしている同氏を直撃すると、驚きの答えが返ってきた。對馬氏は、「大企業のアセットを全て使おうとすると100%失敗する」と言い切ったのだ。いったいどういうことか。
次ページでは、復活を遂げたウェナの成長戦略を明かすとともに、對馬CEOが語る「成功の秘訣」と「100%失敗するパターン」を公開する。







