消費増税への賛否が大きな政局になりそうだ。自民党は5日、党本部で政調全体会議を開き、政府の中期財政計画骨子案等を議論した際、消費増税について、三ツ矢憲生政調副会長は「7対3ぐらいで『上げるべきだ』との意見が強かった」と総括した。
「7」をさらに上げるために、外堀がどんどん埋められている。その一つが、社会保障改革で、社会保障制度改革国民会議は6日、その報告書を安倍晋三首相に提出した。
そこで、「消費増税しないと社会保障ができなくなる」という「脅し」の材料になっている。これは本当だろうか。また、ここにきて、民主党は、社会保障制度改革に関する自民、公明両党との3党実務者協議から離脱するようだ。この民主党の迷走を分析すると、今日のコラムでは「脅し」の化けの皮がはがれることを説明しよう。なお、筆者は、昨年6月14日付け本コラムでも書いているように、「3」のほうだ。
歳入庁構想を取り下げた民主党の失敗
社会保障制度改革国民会議は2012年6月の民主、自民、公明の3党合意(消費増税+社会保障改革)に基づき、衆議院解散後の同年11月末に設置され、今年の8月21日が設置期限となっている。政府は、報告書を受けて、改革の骨子を取りまとめ、8月21日までに閣議決定し、その実施のための関連法案(プログラム法案)を秋の臨時国会に提出する。実定法案は平成26年以降の通常国会に順次提出する。
社会保障制度改革国民会議が議論してきた主なものは、来年4月からの消費税引き上げに伴う財源の使いみちだ。民主党政権下で決められた消費税率引き上げ分のうち1%相当(2.7兆円)については、社会保障の充実に充てるとされている。2.7兆円のうち年金0.6兆円、子育て支援0.7兆円、医療・介護1.2兆円だ。
そこには、民主党が主張する最低保障年金制度創設が含まれず、消費税増税が先行するのに反発したとされている。