特に中南米では、転職したいと考える人の割合と、実際に転職した人の割合に11ポイントもの差がある。ただし、転職意向率と実際の転職率は対象期間が異なるため、その差がそのまま「転職を断念した人」の割合を意味するわけではない。
いずれにせよ、社員側に表面化していない不満が蓄積している可能性がある。企業側から見れば、社員が辞めていないからといって、必ずしも会社に満足しているとは限らない。現在は職場にとどまっていても、条件の良い転職先が見つかれば退職に踏み切るかもしれない。
こうした「潜在的離職リスク」をどう把握するかが、企業にとって重要な課題となっている。
退職理由の世界1位は「給料」
アジアでは異なる結果に
では、働く人はどのような理由で会社を辞めようと考えるのだろうか。
調査によると、世界全体で最も多かった退職検討理由は「不十分な報酬」で39%だった。次いで「ワークライフバランス(WLB)の改善」が35%、「キャリア成長機会の欠如」が30%と続く。給料や賞与などの報酬に対する不満が最大の理由である一方、仕事と私生活の両立や、将来のキャリア形成も転職を考える大きな要因になっていることが分かる。
ただし、地域によって優先順位は異なる(下表を参照)。欧州では「不十分な報酬」が42%でトップとなり、北米でも41%、中南米でも40%と、いずれも最大の退職検討理由だった。
【グローバル比較表】主要地域における退職検討理由トップ3
ところが、アジア太平洋地域では異なる結果となった。最も多かったのは「ワークライフバランスの改善」の35%で、「不十分な報酬」の34%を上回った。3位は「キャリア成長機会の欠如」で31%だった。つまり、アジア太平洋地域では、給料だけでなく、働き方や私生活との両立が退職を考える重要な理由になっている。
一方、中南米では「キャリア成長機会の欠如」が38%で2位に入った。欧州では同率3位の29%、アジア太平洋地域では31%であり、中南米では成長機会に対する不満が特に強いことがうかがえる。
北米では「経営陣・上司との不和」が30%で3位に入った。待遇や働き方だけでなく、経営陣や上司との関係も無視できない離職要因となっている。
こうした違いは、企業が一律の人事制度や待遇改善策を導入するだけでは、必ずしも社員の離職を防げないことを示唆している。








