大NTT 巨大再編の賭け#3Photo:Diamond、123RF

かつてNTTの規格に基づく電話交換機メーカーとして「電電ファミリー」の一角を占めた富士通。携帯電話の時代に入ってもNTTドコモとの強固な関係は続いたが、通信機器の世界市場で海外勢が席巻する中で、「NTT専用仕様」に依存したビジネスモデルの転換を迫られた。果たして富士通は、祖業の通信機器ビジネスをどのように再構築しようとしているのか。特集『大NTT 巨大再編の賭け』の#3では、元NTT経営幹部で、富士通のネットワーク機器事業会社1FINITY(ワンフィニティ)の社長を務める森林正彰氏が、NTTグループとの新たな関係に基づく通信機器事業の戦略を明かす。(聞き手/ダイヤモンド編集部 村井令二、今枝翔太郎)

基地局ビジネスのシェア縮小も…
富士通から分社し「好調」の要因とは?

――富士通の通信機器事業を分社し、2025年7月に100%子会社のワンフィニティが発足してから2年目に入っています。祖業の通信機器事業を分社化した経緯を改めて教えてください。世界の基地局市場で日系メーカーのシェアが低下している危機感が背景にあったのでしょうか。

 モバイル分野のシェア低下が直接のトリガーになったわけではないと思います。

 以前から富士通のネットワーク事業は独立していて、通信キャリア向けに一気通貫でビジネスを展開していたので切り出しやすい形にはなっていました。それを分社する際、一部の研究開発チームや保守チームが合流したことで、研究開発、製造、運用、保守まで一貫して担う体制になること(の効果)が大きかった。

 発足初年度となる25年度の売上高は、当初計画の1500億円を上回る1936億円で、ここまでは順調です。売上高は30年に3000億円へと拡大させる目標です。この目標は、初年度の好調を受けて従来の2800億円から上方修正しています。

――日本の通信機器メーカーは苦戦しています。世界の基地局市場で、スウェーデンのエリクソン、フィンランドのノキア、中国の華為技術(ファーウェイ)が席巻し、日本勢は富士通とNECを合わせても、世界シェアはわずか1%程度。基地局事業をどのように立て直していくのでしょうか。

 元々、日本勢はグローバルではシェアが大きかったわけではないので、1%になったといっても急に下がったわけではありません。ただ、(2020年前後から)5G(第5世代移動通信規格)ビジネスが始まった当初、基地局市場に十分入り込めなかったのは確かです。

富士通は、既存の基地局ビジネスの苦境をどのように打開するのか。また、森林社長にとって古巣でもあるNTTとの関係はどうなるのか。さらに、NTTグループが推進する次世代通信基盤「IOWN」構想に富士通は、どんなビジネスチャンスを見いだすのか。次ページで、森林社長が明かす。