推進すべきは「リフレ政策」
10年前に論理的に読み解かれていた結論

 そして最後の第4章で「日本経済の『今』を理解」します。

「経済学思考の基本ルール10」に準拠しながら戦後日本経済史を概観しつつ、デフレ経済の状況と言説を批判的に検討し、結論としてリフレ政策の推進を掲げます。非常に論理的な組み立てです。

 最後の第4章補論第5節は「まずデフレを止めなければいけない」と題されています。

 現在の日本経済の問題点を不況とその深刻化としてとらえ、その原因を探り、結果としてリフレ政策の必要性に到達しました。(略)まずデフレを止め、経済を正常な環境に向かわせる準備を整え、その後に初めて本当の構造改革を行う好機が訪れるのではないか……。以上が限られた道具から私が導く日本経済への政策提言です。
(248ページ)

 これが本書の最後の言葉です。10年前の本書は、けっきょく10年後のアベノミクスへいたる論理の道を描いていたのです。数学はまったく使用されていません。頭が整理されながら読み進められる書物です。


◇今回の書籍 28/100冊目
『経済学思考の技術――論理・経済理論・データを使って考える』

日本が進むべき道は10年前に説かれていた!<br />数学不要の「経済学思考」のトレーニングブック

「経済学思考」を身につけ、それに基づく基本原則を知り、自分の手で現実の経済・ビジネスを考える実戦力を身につけるためのトレーニングブック。論理、経済理論、データを使用して考える「経済学思考」の技術について解説。

飯田泰之 著

定価(税込)2,100円

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