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【マーケティングとIT】
ソーシャル時代の顧客と、企業はどう向き合うべきか

内山悟志 [ITR代表取締役/プリンシパル・アナリスト]
【第2回】 2013年9月19日
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社会は「縦」から「横」を経て
「網」へと変化した

 さて、社会的な背景に目を向けてみよう。

 これは、縦社会から横社会、そして網社会へのパラダイムシフトといえる(下の図1)

 これまではそれぞれ分散し、相互につながりをもたなかった人々が、ソーシャルメディアなどを通じて自分たちの意見を同期化し、行動を調整し、その結果を記録して発信できるようになった。

 チュニジアやエジプトでの革命、リビアの反体制派、イエメン、バーレーンの民衆の行動は、まさに情報格差に基づく「縦社会」の崩壊を意味するのではないだろうか。

 このようなパラダイムシフトが、企業組織、各種業界、地域社会、政府・自治体など至る所で生じており、一部の権力者、有力企業、カリスマリーダーなどが、一般の市民、市場、消費者をコントロールすることはもはや困難となっている。

 縦社会では、情報の流れは上位の者によってコントロールされ、下位の者からは他の社会が見えず、個人間のつながりは狭い範囲に限定される。一方、情報の共有や交換が進むと、情報格差が縮小し、他の社会や他者の考えに触れる機会が増大し、横社会が形成されていく。

 一方、横社会では、情報格差は縮小し、上位の者よりも下位の者のほうが豊富な情報をもつという逆転現象も起こり得る。

 さらに情報の透過性が高まると、求心力をもつ複数の個人がハブの役割を担い、網社会が形成される。

 とくに、消費者や地域住民にとってソーシャルテクノロジーは重要な武器となっており、互いにつながることで、大きな力をもつことを可能にしている。このような社会的パラダイムの変容に呼応して、顧客や市場と企業の関係は新たな局面を迎えており、マーケティングや顧客戦略にも大きな転換が求められるのである。

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内山悟志
[ITR会長/エグゼクティブ・アナリスト]

うちやま・さとし/大手外資系企業の情報システム部門などを経て、1989年からデータクエスト・ジャパンでIT分野のシニア・アナリストととして国内外の主要ベンダーの戦略策定に参画。1994年に情報技術研究所(現アイ・ティ・アール)を設立し、代表取締役に就任。2019年2月より現職。


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日々進化するIT技術をどうやって経営にいかしていくか。この課題を、独立系ITアナリストが事例を交えて再検証する。クラウド、セキュリティ、仮想化、ビッグデータ、デジタルマーケティング、グローバル業務基盤…。毎回テーマを決め、技術視点でなく経営者の視点で解き明かす。

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