このところサッカー界に良いニュースが少ない。

 まず日本代表。6月に早々とブラジルW杯出場を決めたまでは良かったが、その後が散々だ。直後のコンフェデレーションズカップでは相手がブラジル、イタリア、メキシコという強豪国だったにせよ、いずれも大量失点を喫して3戦全敗で1次リーグ敗退。その後、東アジアカップで優勝し面目を取り戻したかに見えたが、強化試合のウルグアイ戦に敗れ、グアテマラ戦、ガーナ戦には勝ったものの「アウェーでの試合でたくましさを身につける」ことを命題にした欧州遠征第1戦でFIFAランク同格のセルビアに成すすべなく0-2で敗れた。失点を重ねる守備陣に改善の兆しは見えず、ザックジャパンのセールスポイントだったはずの攻撃陣にもその沈滞ムードが伝染したかのようにゴールチャンスもほとんど作れなかった。

 アジアでは勝てても、欧州や南米の強豪国には勝てない。W杯本大会まであと9ヵ月。「こんな状態で大丈夫なのか」と多くの人々に思わせてしまった。日本サッカー界の空気の温度を上げるも下げるも代表の試合結果次第。その代表がこんな状態ではサッカー熱の低下は否めない。

 アジアのクラブナンバー1決定戦、AFCチャンピオンズリーグ(ACL)では準決勝で柏が中国の広州恒大に敗退した。ACLには日本から柏、広島、浦和、仙台の4クラブが出場したが、3クラブはグループリーグで早々に敗退。頼みの綱だった柏がホームで1-4、アウェーで0-4と中国のクラブに大敗したことにガックリきたサッカーファンも多かったはずだ。

 ACLでは2007年に浦和、翌08年にガンバ大阪が優勝しているが、その後日本のクラブの成績はかんばしくない。代表が停滞しているだけでなく、クラブも頼りない状態なのである。

 加えてサッカー関係者の不祥事も相次いでいる。6月には日本サッカー協会専務理事のセクハラ疑惑が発覚。協会側は疑惑の調査もせず、厳重注意で済ませようとした。そして10月13日には元日本代表でサッカー番組の解説を務める前園真聖がタクシー運転手に暴行を働き逮捕されるという騒動が起きた。前夜はテレビ番組で日本―セルビア戦を解説。同情的に見れば、日本代表のふがいない戦いぶりにイライラが高じて、つい深酒をしてしまったのだろう。だが、朝9時過ぎに我を忘れるほど泥酔していること自体いただけない。