積立分はどう配分すればよいか?

 もうひとつ、「積立投資」についても少しお話ししておきましょう。

 資産運用では、運用期間の長さもさることながら、追加投資をするか否かで結果に大きく差がつきます。たとえ運用開始当初は何百万円ものまとまった資金がなくても、1カ月に1万円ずつコツコツと積立をつづけることにはおおいに意味があります。

 月々の積立投資分についても、資産配分の比率は基本的に、2ページ目で示した配分のとおりです。ただし、以下の点にご注意ください。

 投資信託の積立投資は多くの場合、最低申込額が1万円です。2ページ目で示したとおりの資産配分を保ちながら積立投資をするには、1万円×5(または4)資産のお金を月々の積立に回すことが理想ですが、そうすると毎月4~5万円以上の余剰資金が必要になります。毎月の収入の中からそれほどのお金を投資に回せる人は、それほど多くないのが現実でしょう。

 ちょうど積極運用タイプのAさんのように、「5つの資産クラスでポートフォリオを組んでいるのに、月々の積立に回せるお金は3万円しかない」という場合は、いったいどうすればよいのでしょうか?

 そこで、ポートフォリオのバランスを崩さずに限られた積立資金をやりくりする方法をいくつかご紹介しましょう。

1万円以下でも積み立てられる商品を探す
「積立投資の最低申込額は通常1万円」とはいえ、最近ではインターネット証券を中心に1万円以下でも積立が可能なコースを用意しているところがあります。まだ数は多くありませんが、そうしたサービスを提供している証券会社を探すのも有効です。この方法は、一度申し込んでしまえば毎月決まった日に自動で積み立てられ、手間がかからないのがメリットです。

2カ月に1度、交互に買い付ける
 たとえば積立予算が毎月2万円で、4資産でポートフォリオを組んでいる場合には、「1月は国内株式と国内債券に1万円ずつ、2月は先進国株式と先進国債券に1万円ずつ、3月はまた国内株式と国内債券に……」という具合に、交互に買い付けていく方法もあります。この場合、自動積立の設定ができない点がやや難点ですが、バランスを極力保ちながら積立を行うことができます。

 半年に1度、あるいは1年に1度のペースで全資産クラスを買い付ける
「2カ月に1度買い付けるのは面倒くさい」という方なら、積立分の予算を何カ月か貯めておき、半年や1年などあらかじめ自分で決めておいたサイクルで買い付けるという方法もあります。

 いずれの方法でも、月々の積立に回せる金額が限られているうちは、あまり厳密に考えすぎず、ざっくりと配分するということでもかまいません。運用を始めてしばらく時間が経過したところで、改めて全体のバランスを見直してもよいでしょう。この点については、また回を改めてお話しすることとし、次回はいよいよ、投資信託の選び方を説明します。どうぞお楽しみに。

※次回は、11月22日(金)に配信予定です。


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