この10年で急激に投資家の人気を集めたのが投資信託。99年時点で資産残高が一番多かった投信は4000億円だったが、現在は1兆5000億円のグロソブを頂点に4000億円以上の投信は16本を数える(2012年6月末時点)。にもかかわらず、投信についてはあまり詳しく知られていないのが実情だ。投信とはどんな商品なのか? どのように使うべきなのか? ファイナンシャルプランナーの深野康彦さんが初心者向けにレクチャーする新連載がスタートだ!
◎先生
深野康彦さん
有限会社ファイナンシャルリサーチ代表。ファイナンシャルプランナー。著書に『これから生きていくために必要なお金の話を一緒にしよう!』(ダイヤモンド社)など。
◎生徒
財 信夫(35歳):将来のことを考え、投資を始めようとしている会社員。投資経験はなし。お金は妻任せで、お小遣い制。
財 託子(32歳):信夫の妻。2年前の結婚までは会社員だった。現在は専業主婦。趣味は貯金。
投資信託は運用するための「器」だ!
信夫:先生、初歩的な質問で恐縮ですが、将来に備えて「投資信託」を買おうと思いますが、そもそも投資信託ってどんな商品ですか? 初心者なのでぜんぜんわからないんです。
深野:投資信託とは、複数の投資家から集めたお金を1つの器にまとめて、それを運用の専門家である投資信託会社のファンドマネジャーが管理運用し、その成果を投資家に分配・還元する金融商品のことです。「器」のことを投資信託、略して「投信(とうしん)」、「ファンド」と呼ばれることもある。
託子:専門用語の羅列でよくわからないんですが……
深野:投資をしたことがなかったんだよね、ごめんね! 投資信託を一言でいえば、共同投資をするための「器」。共同購入というと、かつては生協、今はインターネット上の共同購入システム、グルーポンなどと同じと考えれば分かりやすいかな。
託子:生協は使ったことはないけれど、グルーポンは使ったことがあるわ。ある商品の購入をインターネット上で呼びかけて、一定数以上になれば安い価格で購入できる。たしか、洋服をかなり安く買った記憶があります。
深野:生協などは共同で物を安く購入する仕組みだけど、投資信託は皆でお金を出し合って、そのまとまったお金で専門家に株や債券などへ投資してもらい、その成果を皆で分け合うシステムだね。たとえば、個人が直接投資することができない、インドの株式、ロシアの株式などにも投資信託を活用すれば、簡単に投資することができる。
投資信託なら「ワンコイン投資」もできる
信夫:日本は低金利が続いているし、景気もよくならないから株も上がらない。でも、海外へ投資すれば、金利も高いし、株も期待できそうな気がする。
深野:その通り。しかも、個人だと1人1人が投資に回せるお金なんて、よほどのお金持ちではない限りたかが知れている。信夫君は投資信託にいくら位投資してみようと考えているんだい?
信夫:そうだな、最初は様子を見るために10万円くらいかな……。
深野:投資信託は1万円から買うことができるし、ネット証券などでは1000円、一部ではワンコイン=500円から買えるところもある。
信夫:ランチ代程度で買えるんだ! でも、それでビジネスとして成り立つのかちょっと心配。
深野:ランチ代程度は最低購入金額なので、実際には全員が500円しか買わないわけではない。A君は1000円かもしてないけれど、Bさんは1万円、Cさんは10万円、中には1回で100万円投資する人もいる。また、1度に購入せずに、買い増す人だっているはずだ。
託子:なるほど、そうするとたくさんのお金が集まるワケね。
深野:日本で1番資金が多い投資信託は「グローバル・ソブリン・オープン」、略して「グロソブ」と呼ばれていて、2012年7月末現在で約1兆5500億円、ピーク時には約5兆7000億円の資金を集めていたんだよ。
信夫:そんなにお金が・・・・景気が悪いと言うけれど日本人はお金持ちなんだな。
深野:そうともいえるね。お金持ちかどうかは、ほかの機会に譲るとして、投資信託の説明に戻ってもいいかな。
託子:お願いします!
投資家がファンドマネジャーを雇っている!?
深野:僕たち投資家から見ると、運用の専門家であるファンドマネジャーを間接的に雇っている形になる。今だってファンドマネジャーは僕たちの代わりに企業の社長さんに会い、今後の見通しを直接聞いたり、外国株で運用する投資信託であればファンドマネジャーは日本の裏側にあるブラジルを訪問しているかもしれない。
信夫:僕たちの代わりにリサーチをしてくれているんだね。
深野:個人がお金の運用のために企業の社長に会ったり、地球の裏側まで行くことはまずありえない。そのため、ファンドマネジャーなどの運用の専門家を雇うためのコスト、運用管理費用(信託報酬)というものがかかるんだね。
託子:なるほど。ファンドマネジャーを雇うなんてセレブみたいだわ。ちょっとこのお金を殖やしてくれない!なんて命令したりして……。
深野:残念ながらファンドマネジャーに直接命令することはできないんだ。
託子:そうなの、ちょっと残念ね。
深野:ファンドマネジャーは信託銀行に「ホンダの株を買ってくれ」「ソニーの株は売ってくれ」などという指示を出して、信託銀行がその指示を実行することになる。図は投資信託のお金の流れを示したもの。通常は、銀行や証券会社で投資信託を購入し、そのお金は信託銀行が金庫番のような形で管理してくれる。
信夫:ファンドマネジャーは資金を管理していないんだね。
深野:次回以降にお話しするけど、投資信託を買うにあたって1つ大事なことは、預貯金のように元本が保証されていないこと。専門家が運用するからといって、必ず儲かるわけではないことも覚えておいて欲しい。
信夫:損することもあるの? 買う気を削がれちゃうな~
深野:でも、本当のことだし、買った後に言ったらもっと怒るだろう?
信夫:たしかにそうだね。
深野:投資は自己責任。お金の運用は常にリスクとリターンがあるということ。綺麗なバラには棘があるということだね。
・小口資金から投資できる器が投資信託
・運用、管理などは全て専門家が行ってくれるがコストがかかる
・預貯金とは異なり元本は保証されていない
次回は
「なぜ、みんなは投資信託を買っているの?」です。お楽しみに!
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