産経新聞の取材で考えた
「ダフ屋」の何が問題なのか?

 先日筆者は、ダフ屋、特にネットに活動の場を移したネットダフ屋についてどう思うか『産経新聞』の取材を受けたが、筆者への取材と弁護士の紀藤正樹氏へのインタビューを元にした記事が、先日掲載された(記事はネットであれば「MSN産経ニュース」で読むことができる)。

 筆者は、いわゆるダフ屋(チケットの二次売買)を公認し、特にネットでのダフ屋の活動が進化・発展を促すことで、問題のある業者の利益が減り、チケットの売り手・買い手、さらにはアーティスト、興行主にもメリットが生じるのではないかと考えている。ダフ屋の弊害はむしろ克服・解決され、関係者のメリットが増えると言いたいわけだ。

 他方紀藤氏は、現在ダフ屋行為を規制している迷惑防止条例を「『公共の場』にネットを含める」ように改正して、ネットダフ屋を取り締まるべきだと述べておられる。ダフ屋規制強化論である。

 また紀藤氏は、ダフ屋がチケットの流通を阻害しているとお考えのようであり、「供給が限られたものを買い占め、値段をつり上げることを公認することはあり得ない」とも仰っていて、ダフ屋規制について「“ブルセラ規制条例”のような被害者はいないけれども、社会的に合理的な規制は存在する」とも説明されている。

 以下の小論は、筆者の意見を改めて自分自身の言葉で整理して述べ直すことを意図したもので、紀藤氏に対する直接的な反論を意図したものではないし、「ダフ屋と共に、ブルセラも麻薬も自由化しよう」といった壮大な社会哲学を述べようというのでもない。現実を良くするために、少々経済的な考えを巡らせてみるだけだ。