ニューヨークダウが9000ドルを回復し、日経平均株価も9000円を超えるなど、新年の株式市場は復調の様相を見せている。

 しかし、その足元は危ういと言わざるをえない。なぜなら、信用リスクは増大したままで、投資家のリスク回避志向はいまだ解消していないからだ。

 昨年末のFRB(米連邦準備制度理事会)、日本銀行の利下げと資金供給拡大のおかげで、信用リスクの大きさを表すクレジットスプレッドの一つ、CDS(クレジット・デフォルト・スワップ)インデックスは日米共に縮小している。

 とはいえ、昨年10月中旬、先進各国が金融機関への公的資金投入で足並みを揃えた直後の水準に戻ったにすぎない。昨年9月のリーマン・ブラザーズ破綻前と比べれば、依然高水準にある。

 また、トリプルB格の社債利回りからトリプルA格の社債利回りを引いたスプレッドのほうは米国では9月以降拡大する一方。現在300べーシスポイント台前半で推移している。これは「大恐慌時に匹敵する水準」(石原哲夫・みずほ証券シニアクレジットアナリスト)だ。

 10月中旬のニューヨークダウは9000ドル前後、日経平均株価も9000円前後で推移していた。当時の水準に戻した格好となるが、10月中旬から1月初旬までのあいだに、日米共に企業業績予想は大幅に下方修正されている。

 本来であれば、予想が下方修正されたぶん、株価も下落しておかしくない。10月中旬当時よりも割高になっているといえる。

 その割高な水準を支えているのは、1月20日に就任するオバマ新大統領への期待感であるのは間違いない。

 だが、ふくれ上がった期待が裏切られれば、株価はあえなく下落する。たとえ、危機克服策を打ち出せたとしても株価の復調傾向が持続する公算は小さい。

 世界景気の落ち込みはこれから本格化し、倒産、デフォルト(債務不履行)が増加する。現在縮小しているクレジットスプレッドも「再び拡大に向かう」(中空麻奈・BNPパリバ証券クレジット調査部長)。つまり、投資家は今以上にリスクある資産への投資を控えることになる。

 そうなれば、株価が再び下落することは避けられない。現在の株価上昇はオバマ新大統領就任前のユーフォリアに支えられた“砂上の楼閣”にすぎない。

(『週刊ダイヤモンド』編集部 竹田孝洋)