グーグルのヒューマノイド戦略は
テレマティクスへも影響大
一見、自動車とは関係がないように思えるが――。
2013年12月13日(金)、アメリカで大きなニュースがあった。グーグルはロボット開発メーカー「ボストン・ダイナミクス」社の買収を完了したと明らかにした。同社は国防総省の傘下で次世代型の軍需関連機器の開発を指揮するDARPA(防衛高等研究計画局)と密接な関係がある。四足歩行の動物型や二足歩行のヒューマノイド等、革新的なロボット開発で世界的にその名が知られている。
これでグーグルは、過去1年ほどの間に8社のロボット関連企業を買収したことになる。そのなかには日本のベンチャー企業「SCHAFT(シャフト)」も含まれる。
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ではどうして、このタイミングでグーグルはロボット事業参入を急いでいるのか?
ひとつの理由は、DARPAが主催するヒューマノイドの賞金競技「DARPA ROBOTICS CHALLENGE」(略称DRC)の公開トライアルが2013年12月20~21日、米フロリダ州の自動車レース施設「ホームステッド・マイアミスピードウェイ」で開催されるからだ。日本の「SCHAFT」もDRCに参加する世界17チームのうちのひとつ。そして「ボストン・ダイナミクス」が開発した「アトラス」は優勝候補の筆頭だ。
DARPAの賞金競技といえば、2004年、2005年の「グランドチャレンジ」、2007年の「アーバンチャレンジ」として開催された無人自動車レースが有名だ。その際、トップチームだったスタンフォード大学、MIT(マサチューセッツ工科大学)、カーネギーメロン大学等の研究者や大学院生はその後、グーグルや独コンチネンタルに転じて、自動運転の量産化プロジェクトで活躍している。
つまり、国防総省という米政府、グーグルというアメリカ経済を牽引する企業、アメリカの将来を担う若者たちを世界各国から受け入れている米教育機関、さらにシリコンバレーを中心としたベンチャーキャピタルが絡み、自動運転やヒューマノイドという「世界市場に向けて話題性の大きい次世代技術」をアピールしているのだ。
自動運転とヒューマノイドは、自律移動という共通項を持つ。そのなかには高性能な制御技術、画像や音声による外部環境の把握、モバイル等の受信機とクラウドと高精度な連携が含まれる。
つまりそれは、「次世代型テレマティクス」である。