特に意見が多く出されたのは、生存教諭(以下、A先生)と当時の柏葉照幸校長、市教委の三者の証言や説明に矛盾が見られる点について、解明を求める声だった。

 ある遺族は、A先生の証言にこだわる理由をこう切々と述べたという。

「決して、A先生を責めたいわけではない。遺族が、A先生の証言を“ウソ”と言っているのは、証言や手紙に事実と違う点があるから。本当はどうなのかを知りたいだけ」

「検証委員会はA先生の証言が事実とは違う部分があることはわかっている。だがそれが報告書に盛り込まれていない」

 この遺族はまた、A先生や校長、市教委の説明の整合性が合わない部分がいつまでも解消されないために、遺族が解明を求める声が報じられることになり、結果として、遺族たちがA先生を責めているようにと誤解されている現状も訴えた。

 こうした数々の意見に対し室﨑委員長は、「校長先生とA先生の証言が食い違っていることを調べても提言につながるという風には思っていない」「限界がある」として、再調査には難色を示したという。

 だが、追加調査できそうな部分は検討してみることと、整合性が合わない部分や不正確な部分が存在している事実を明記することについては、書きぶりを見直してみることを約束した。

 また、大川小と同様に、避難訓練の実施や事前準備に不備があったにもかかわらず、子どもたちを助けた学校と、大川小の違いについての分析を強く求める声も出た。

 室﨑委員長は、不備があった学校で子どもを助けられたのは「偶発性」であるとし、「たまたまでは、教訓にならない。提言内容に結びつかない」と、追加で分析をすることにやはり難色を示した。

 だがこの遺族は、こう改めて要望した。

「泥だらけになってでも、四つん這いになっても、その学校では、道がないところを登らせる決断ができた。専門的に踏み込むのはそこの部分ではないか」

「子どもたちを救うための強い行動が実際にできなかった部分の追求が足りないのではないか。教員がそういう心理状況に陥りやすいということが、今回示せれば提言になるし、事実解明にもなる」

 室﨑委員長は結局、「検討させてください」と回答した。