

ここまでの話から考えられるのは、いわゆるソーシャルゲームも含めた、アイテム課金システムが組み込まれた基本無料で遊べるゲームのユーザーには、大きく分けて「ゲームの中の話は演出であり、基本無料ゲームのアイテム課金は高くて当たり前」と考えるソーシャルゲーム育ちのタイプと、「ゲームは遊びなんだから、払うなら家庭用ゲームソフト程度の課金総額がフツー」と考える家庭用ゲーム機に慣れたタイプの、2タイプがいるということである。このダブルスタンダードの状態、もしくはこのダブルスタンダードをうまく使い分けるユーザーを相手に、今回の事件は発生していると考えられる。
確かに、ユーザーの種類はゲームトレンドとともに変化してきており、この二種類だけではとどまらない。下図は筆者(小山)が、プレイヤーの嗜好を、イギリスのゲーム研究者バートルの分類に従って、Player(他のプレイヤー)-World(ゲーム世界)の軸と、Acting(自ら行動することを重視する)-Interacting(他のプレイヤーと共に行動することを重視する)の軸の2軸で分類し、日本のオンラインゲーム(いわゆるソーシャルゲームも含む)のトレンドを重ねたものである。
ゲームタイプの流行をこの4分類で説明していくと、90年代後半から00年代前半に流行した「MMORPG(大規模多人数同時参加型オンラインRPG)」は他のプレイヤーと何かを成し遂げることを重視する「Explorer」タイプのプレイヤーが多いとされており、Interacting&World(右下)に分類される。
次に、2000年代後半に流行した「カジュアルゲーム」、たとえば「サンシャイン牧場」などの野菜などを育てて友人とプレゼント交流するようなゲームは、他のプレイヤーとの交流を重視する「Socializer」タイプのプレイヤーが多い。また、既存のゲームではほとんど無かった領域で、Interacting&Player(左下)に分類される。
2010年前半に流行した、年に100万円も達するような重課金をものともしないユーザーに高負担を強いるタイプのオンラインゲーム、たとえば「アイドルマスター シンデレラガールズ」のようなゲームは、対戦格闘ゲームのプレイヤーの動機に近い、他のプレイヤーを倒すことを目的とする「Killer」タイプのプレイヤーが中核をなしている。Acting&Playerとして左上に分類される。
そして、現在流行している「パズドラ」や「艦これ」などは自分で何かを達成することを目的とする「Achiever」タイプのプレイヤーが多い。彼らは、非オンラインゲームにおける、従来型のRPGやアドベンチャーゲームのプレイヤーと同じ動機をもっていることが特徴である。