「再稼働反対」を高く掲げるべきだった

 こうなったのは、「脱原発」や「原発ゼロ」の言葉が意外なほどあいまいで理解しがたいからではなかったかと私は考えている。 

 むしろ、端的かつ具体的に「再稼働反対」か「ストップ再稼働」がよかった。それなら再稼働反対を明言しない舛添氏との主張の違いが明確であった。万が一にも舛添氏が「ストップ再稼働」を主張すれば、細川・小泉連合軍は直ちに喜んで解散して合流しただろう。 

 脱原発に限らず「脱ーー」は意外に一部の人しか理解できない表現だ。そして、実現期間が明示されないから、100年後に原発を無くすと言っても脱原発だ。 

 これも街頭の聴衆のささやきから痛感したのだが、現時点が原発ゼロ状態であることを知っている人は驚くほど少ない。小泉元首相が「今もゼロ」と言うと、いつもまわりがざわついた。 

 多くの人が現在の東京の電力供給の相当部分が原発に依存していると考えているとしたら、「原発即ゼロ」によって、それこそ即時に経済や生活の形態を変えなければならなくなる。「それはかなわない」と思われても当然だ。 

 東京新聞の世論調査によると「53.3%が再稼働に反対」で賛成の39.6
%を大きく上回った。これは何と選挙戦終盤の調査なのである。やはり「再稼働反対」を高く掲げれば明確な争点になった可能性が高い。

 今後安倍政権が、都知事選で原発推進、再稼働促進の原発政策を認められたと受け取ったら大きな間違いである。 

 この都知事選がもう一度、原発政策を俎上に上げた歴史的意味は実に大きい。調査によると、一昨年暮れの総選挙以上に原発政策が投票行動を決める基準となった。大いなる成果と考えてよい。今回の都知事選は終わりではなく、新しい出発点なのだ。