今春の中学受験速報値の他、過去3年間の中学受験、高校受験、大学受験、それぞれのステージについて、主な塾や予備校の有力校合格者数の実数と平均を比較している。子供にとって最適な 塾・予備校を選ぶために役に立つ情報を網羅している

今年も断トツのSAPIX
トップ奪取を狙う早稲田アカデミー

 2月1日午後2時すぎ、JR西日暮里駅(東京都)の程近くには、人だかりができていた。この日行われた、私立最難関の開成中学の入試が終わるのを待つ親と塾の関係者たちだ。皆、子どもたちが出てくるのを、固唾をのんで見守っていた。

 しばらくすると、憧れの校章であるペンと剣のマークが掲げられた校舎から、燃え尽きたかのような表情をした全国の精鋭たちがゆっくりとした足取りで現れた。4教科の試験に死力を尽くしたのだろう。ねぎらいの言葉をかける親や塾講師たちに寄り添われ、子どもたちは開成を後にした。 

2月1日朝。開成中学校。受験生と彼らを激励する塾の教職員                  Photo by Ryuichi Mine

 この日、開成を受験した人数は1130人。そのうち合格したのは401人で、倍率は2・8倍となった。受験者数は昨年を若干下回るものの、狭き門であることに違いはない。

 男子御三家でいえば、開成が若干減少し、麻布中学は横ばい。そして、昨年大幅に受験者数を減らした武蔵中学は、昨年の東京大学の合格実績が伸びたことから人気が回復し、前年比136人増の556人が受験した。倍率は昨年の2・4倍を大きく上回る3・1倍となっている。

 一方、女子の御三家はどうか。受験者数が増えたのは女子学院中学のみで、桜蔭中学は微減となり、雙葉中学は大幅減となった。その理由は「定員数が100人と少ないことから、リスクを取らない層が増えたのではないか」(塾関係者)と分析される。

 では、気になる塾ごとの合格実績はどうだったのか。

 今年も言わずもがな、SAPIXの断トツぶりがひときわ目立った。SAPIXの御三家の合格者数は834人に上り、前年の773人から61人増と躍進した。

 片や、残りの大手進学塾は、四谷大塚以外は前年割れ。中でも、開成と桜蔭で実績を落とした日能研は、四谷大塚と早稲田アカデミーの後塵を拝す結果となっている。

 とりわけ、SAPIXの躍進ぶりを支えたのは、開成の合格者数だろう。今年の合格者数は261人に上り、過去最高を記録。401人の合格者数に占める割合はなんと約65%だ。

 試験直後の時点の発表では合格者数231人と前年割れだったが、繰り上げ合格が発表された途端、一気に250人の壁を突き抜けた。

 実に、次点の四谷大塚から浜学園までランキングにある九つの塾の合格者数を足し合わせた数に匹敵する合格者数を、一つの塾でたたき出すのだから驚きだ。

 開成だけではない。御三家6校のうち、早稲田アカデミーが力を入れる比較的偏差値の低い武蔵を除き、SAPIXが5校でトップとなっている。

 SAPIXも一時は、大手予備校の代々木ゼミナールの傘下に入ったことで、行く末を不安視する声もあったが、それらの声を跳ね飛ばす勢いは健在だ。

 そのSAPIXの牙城を突き崩すと公言するのは、早稲田アカデミーだ。瀧本司社長は、「現在の小学1年生が6年生になるころにはSAPIXを抜く予定だ」と息を巻く。

 早稲田アカデミーといえば、競争心をあおる猛烈ぶりがつとに有名だ。そのスタイルを推し進めることで、これまでも有言実行を貫いてきた。高校受験の分野において、発祥地である杉並区のトップ校、都立西高校の合格者数で1位を取り、次に、早慶付属高校や開成高校に至るまで、狙った目標は必ず達成してきたからだ。

 今年は日能研にわずかに競り勝っているにとどまるが、今後は台風の目になりそうだ。

 加えて、業界が注目するのが、大手予備校の駿河台学園と組んだ関西の雄、浜学園だろう。

 関西では超有名塾だが、関東での知名度はいかんせん低い。そのビハインドを駿台と組むことで解消する構えだ。2月にスタートしたばかりだが、いずれ上位に食い込む可能性は高いだろう。

 はたして、いずれかの塾がSAPIXの牙城を突き崩す日が来るのだろうか。

主な塾・予備校の合格者数
3年分の実績と強さを徹底分析

 『週刊ダイヤモンド』2014年3月1日号では、特集「受験に勝つ!塾&予備校 徹底比較」で、こうした速報値の他、中学受験、高校受験、大学受験、それぞれのステージについて、主な塾や予備校の有力校合格者数、3年分の実数と平均を比較しています。