冒頭に挙げた、「営業には人を大切にする気持ちがいちばん重要な要素である」というのも、おそらくはあらゆる営業について言える普遍的な事柄でしょう。

 それが真実だとすれば、営業にまつわるネガティブなイメージ、なにかモノを無理やり押し付けて、だますような感じがするというのは誤りである、と言えます。

 さて、ここからは同じように世の中に流布される「営業という仕事にまつわる言説」を、いくつか紹介していくことにします。

 ネット上で数多く見られる「〇分で〇億円稼ぐ、なんたら術」的な言説など、営業をめぐる言説には、いささか怪しげなものもあります。また、営業をテーマにした経済書や営業実務書や、あるいはトップセールスマンの体験談などにも、なかなか興味深くはあるけれど、よく読むと普遍性に欠ける「ただの自慢話」であるというものが少なくありません。

 ここで紹介するのは、ロングセラーであったり、確かな根拠に基づく営業論から選んだ言説です。

「僕たちも、いわゆるロープレ(ロールプレイング)や、プレゼン(プレゼンテーション)の練習は行います。新人もベテランも関係なく。それだけ基本は重要だと考えます。ですが、実際のセールスのプロセスを言ってしまうと、ヒアリング8割、プレゼン2割くらい。なのに練習は、ヒアリングゼロ、プレゼン10割なんですよね」

『僕は明日もお客さまに会いにいく。』(ダイヤモンド社刊より)

 これは、プルデンシャル生命保険株式会社エグゼクティブ・ライフプランナーの川田 修さんの言葉です(参照:http://diamond.jp/articles/-/37560)。

 営業とは、とかくプレゼンテーション、つまり見込み客に対して商品説明や提案など「自分が話すこと」が大事だと思われがちです。

 しかし、川田さんは「ヒアリング8割、プレゼン2割くらい」と言います。

 意外な感じがしませんか?

 営業というのは、売り込んで何ぼ、というイメージがあるように思います。

 一般に営業のプロセスは、次のように説明されます。

①アプローチ
 ↓
②ヒアリング
 ↓
③プレゼンテーション
 ↓
④クロージング

 どのプロセスも成約に至るのに欠かせない大事なプロセスですが、とりわけプレゼンテーションに「The営業」というイメージがあるように思います。

 だからこそ、立て板に水のように語るトーク力がなければいけない、とか、うまく話すことが苦手だから営業には向いてないかも、という思い込みや懸念が生じるのかもしれません。

 では川田さんは、なぜヒアリング8割、と言うのでしょうか。