「御社はどんな事業をされているんですか」「研修サービスです」「そうすると、本なども書かれているんですか」「ええ、何冊か」──。

 この営業マンは「まずはヒアリングが大切」と教えられたのかもしれませんが、当社のホームページを見ればすぐにわかるようなことばかり質問されては、こちらだって「忙しいんだから、早く帰ってくれ」という気持ちになってしまいます。

タイプ別営業力強化法(西野浩輝・マーキュリッチ代表 ダイヤモンドオンライン連載より)

 よく読めば矛盾ではないことがわかりますね。

 ヒアリングが大事である、ということに間違いはありません。

 でも、「なんでも聞けばいい」というものではない、ことも確かなことです。

 西野さんが言うように、自明なこと、事前にいろいろな手段で知ることができることを聞くのは、相手に与える印象がよくありません。

 逆の立場で考えると、よくわかるのではないでしょうか。

 当然知っていて然るべきことを聞かれるのは、あまり愉快ではありませんよね。

 最後に紹介するのは、営業に関する書籍としては古典的な名著からの引用です。

「どの商談に際しても、なるべく早く相手に『ノー』といわせるように仕向けている。程度の差はあろうが、だれでも『ノー』といいたい気持ち、反対したい気分を持っているものだ。これは吐き出させねばならない。したがって、商談の初めにあえて『ノー』といわせるようなたずね方をする。そして相手がひとたび『ノー』といったら、即座に『なぜでしょうか』という営業上非常に重大な意義のある言葉を使って対応する。一度『ノー』といった人は、こうして応対しているうちに、なぜ買わないかという理由を話しだすものだ」

「営業は断られた時から始まる」(ダイヤモンド社刊より)
E・G・レターマン

 NOと言われること、相手に拒否されるのが嫌だ。だから営業はやりたくない。

 そのように考えている方に、ぜひ味わってもらいたい言葉です。

 NOは必ずしも「完全なる拒否」とは限らず、往々にしてYESを引き出すためのきっかけになる。

 著者が指摘するのは、そのことです。前に述べたヒアリングの重要性に関わりますが、NOに対して、なぜNOなのかを語り始めたとき、それが営業にとっての大きなチャンス、というわけです。