

ではまずその中国勢の様子から。総じて言えば、今年は昨年以上に元気であった。その筆頭格は、やはりファーウェイである。MWCでもトップクラスのプレゼンスを誇っており、そもそも会場に出入りするためのパスホルダーのスポンサーにもなっていることから、来場者全員がファーウェイのロゴをぶらさげて歩いているという状況である。
今年は、5つの新製品を発表していた。それぞれ、Wi-Fiルータ、スマートフォン、タブレットを大小2機種、そしてウェアラブルデバイスである。それぞれの端末の詳細については、すでにあちこちで既報されているので、たとえばこの記事をご参照いただきたい。
まず驚いたのは、彼らが「ライフスタイル指向」を明確に打ち出してきたこと。特に前半のマーケティング担当役員のプレゼンテーションでは、ハードウェアスペックよりも写真撮影等のアプリケーション機能を強調し、かつそれが生活のシーンの中でどのように有用かを、わかりやすく説明していた。
こう書くと「そんなのいまどき当たり前」と思われるかもしれない。しかし後述するが、少なくとも今回のMWC2014で、彼らほど明確なライフスタイル提案ができている日本企業は、残念ながら皆無だった。アップルやサムスンにはさすがにまだ一歩及ばないにしても、消費者にとって十分訴求する内容だったと言える。
そしてさらに驚くのは、こうした彼らのキャッチアップが、たかだか1年で実現されていることだ。昨年のMWC2013でも彼らのプレス&アナリストカンファレンスに参加したのだが、その時はハードウェアスペックを「ゴリ押し」した、いわば残念なプレゼンテーションだった。それに比べると、わずか1年でここまで到達できるというパワーには、正直恐れ入ってしまう。
単なるマーケティング戦略の話というなかれ。一寸先は闇というスマートフォン戦国時代において、迅速にマーケティングを実施し、かつそれを製品開発やサプライチェーンに直結できることは、生き残るための必要条件である。実際、欧州を中心に、同社のブランドはじわじわと高まっており、すでに今回発表された端末の価格設定から見ても、もはや「安売り製品」ではない。