マルハニチロとリソー教育。
共通点は「従業員による不正」

 そして、第三者委員会報告書では、「同社では、売上目標(ノルマ)を達成することが社員らの至上命題となり、そのためには売上の不適正計上もやむを得ないとう社内風土であったといえる」としています。これはつまり、売上の不適正計上を正当化する企業風土があったことを示唆しています。

 リソー教育の事件とマルハニチロの事件を比較すると、リソー教育の事件が会計不正であるのに対し、マルハニチロの事件は会計とは関係のない刑事事件であるという違いがあります。

 しかし、強い動機づけに基づいた従業員による不正行為であるという点は共通しています。こうした事件が起こらないようにするには、前述の不正の3つのリスク要因をなくしていくことに尽きます。

 まず、マルハニチロについては、従業員の不満を緩和し、会社への忠誠心、帰属意識を高める経営努力が必要になってくると思われます。

 フードディフェンスもある程度は必要ですが、主としてコスト面の問題もあり、フードディフェンスだけでは限界があります。