粉飾額83億円。
リソー教育に何が起こったか?

 第三者委員会の調査報告によると、およそ7年間にわたって売上高の水増しを行っており、累積粉飾額は83億円にも上ります。その手口は、経営者単独の不正ではなく、多くの経営管理者や従業員を巻き込んだ大規模なものです。

 たとえば、売上に計上すべきでない未消化の授業コマ数を売上に算入したり、契約書の内容を偽装するなど、学習塾の教室単位で幅広く不正が行われていました。

 この不正会計事件においても、背景にはやはり、(1)動機・プレッシャー、(2)機会、(3)姿勢・正当化、の不正リスク要因が存在します。

 まず、第三者委員会報告書によると、社員には売上目標(ノルマ)達成のための強いプレッシャーがあったとされています。

 次に、同社では管理部門や内部監査室の力が弱く、売上計上のチェックが不十分であった他、売上を計上するためのシステムに不備があり、実態のない売上が容易に計上できる状態にあったとのことです。