今年の1月、内閣府に「選択する未来」委員会が発足した。これは経済財政諮問会議の下に設置された調査会で、半世紀後の未来を見据えながら、東京オリンピック・パラリンピックが開かれる2020年頃までにわが国が取り組まなければならない中長期的な課題への対応方向、大きな枠組みを示すことをその狙いとしている(年内に最終報告をまとめる予定)。

 3月12日、その第4回会合が開かれたが、席上配布された2枚の図表を見ると、とてもいろいろなことを考えさせられるので、ここに紹介したい。

TFPを伸ばすことが
必要不可欠

 1枚目の図表はこれである。

 半世紀先(2060年)を見据えると、わが国の労働力人口は、出生率が回復し(2030年に合計特殊出生率が2.07%まで上昇。因みに2012年は1.41%であった)、かつ女性がスウェーデン並みに働き、高齢者が今より5年長く働いたとしても、2060年には、現在の6577万人が5400万人程度まで減少する(約18%減少)。ワーストシナリオ(現状継続ケース。即ち経済成長も達成できず労働参加も進まず出生率も回復しない場合)では、実に3800万人を切るレベルにまで落ち込む(約42%減少)。普通に考えれば、あるいは民間であれば、おそらく現状継続ケースの方がメインシナリオとなるだろう。

 何故なら、5400万人シナリオの方は、余りにも楽観的な想定をいくつも積み重ねているからだ。この表を見れば、誰しも、今こそ人口を増やす政策を総動員しなければ取り返しのつかないことになる、と考えるだろう。しかし、今回は、人口問題はあえて素通りして2枚目の図表に焦点をあててみたい。次のページの図表がそれだ。