経団連の副会長決定が契機

 とはいうものの、今回の賃金改定により、主要8社だけでコストアップは年間20億円程度にも上る。

 中でもNTT東西は、競争の激化から主力のフレッツ光の獲得が来年度以降、かなり厳しくなる見通し。そのため、コスト削減の真っ最中で、ベアなどのめる状況ではなかった。

 それが、経団連の副会長にNTTの鵜浦博夫社長が就任することが決まったことで、風向きが変わる。政府の賃上げ要請は強固で、経団連の幹部企業として無視することができなくなったのだ。

 さらに今年は、4年に1度のグループ再編を議論する年。そのため、政府の意向には「逆らわないほうが得策」という考えに傾いた模様だ。

 そうした事情もあり、全社員を対象にしないという〝苦肉の策〟で乗り切ったというのが真相なのだ。

 しかし、今や収益の柱を担うNTTドコモなどは、民営化後に誕生したこともあって対象となるエキスパート層は少なく、社員からは不満の声が上がる。

 7年ぶりとはいえ、世代間の対立などを生みかねないNTTグループのベアは、将来に禍根を残しそうだ。

 (「週刊ダイヤモンド」編集部 小島健志)

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