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モバイルで変わる顧客接点

内山悟志 [ITR代表取締役/プリンシパル・アナリスト]
【第14回】 2014年3月28日
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顧客のモビリティへの対応

 オムニチャネル化に加えて、モバイルデバイスの普及に伴って考慮が必要となるのが、顧客のモビリティ(移動性)へに対応である。

 今や、外出先や移動中に、携帯電話やスマートフォンを利用することができ、世界中のどこにいてもインターネットにアクセスできる環境が整っている。また、GPS機能つきのモバイルデバイスであれば、顧客の現在位置が分かる。

 さらに、おサイフケータイなどのICチップに対応したデバイスが利用される場合は、利用地点と購買行動の両方を同時に捕捉することも可能となる。

 したがって、企業は移動する顧客を対象として、顧客のロケーションや行動に基づいてタイムリーに情報やサービスを提供したり、的確な問題解決を実施することが可能となっている。

 携帯電話の位置情報サービスの進化に伴い、顧客の移動位置に連動して現在地から最もアクセスしやすい店舗の情報を宣伝したり、タイムリーな告知をする技術や手法が注目を集めており、これはロケーションベース・マーケティングなどと呼ばれている。より現在地に近ければ、顧客へのメッセージの到達率も向上するうえ、顧客がよく知らない地域に関する情報であればさらに情報の希少性により価値が増す利点があるといわれている【図2】

 また、foursquare(フォースクエア)などのソーシャル・ネットワークでは、顧客が訪問した場所にチェックインすることでポイントがたまったり、割引クーポンが提供されるといったマーケティング手法も数多く試行されている。このような取り組みは、O2O(Online to Offline)と呼ばれており、本連載第7回【ITで変わる顧客との関係】ネットとリアルをつなぐ古くて新しいキーワード「O2O」で詳しく述べた。

顧客接点を強化するモバイル活用戦略

 顧客接点の強化を目指したモバイルの活用には2つの側面が考えられる。1つは、顧客のモバイル化への対応であり、もう1つは社内の対顧客プロセスにおけつモバイル活用である。そして、両者にはそれぞれ「攻めの戦略」と「守りの戦略」が存在する【図3】

 前者については、Webサイトのモバイル対応といった基本的なものから、位置情報とEメールを組み合わせたタイムリーな購買促進に至るまで、これまでもさまざまな取り組みが行われている。

 モバイルデバイスの特性である「パーソナル性」「可搬性」「即時行動性」「双方向性」を活かし、顧客とのコミュニケーションを通して関係をより緊密にすることで、ロイヤリティの向上、購買促進に結びつけることが狙いとなる。

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内山悟志
[ITR会長/エグゼクティブ・アナリスト]

うちやま・さとし/大手外資系企業の情報システム部門などを経て、1989年からデータクエスト・ジャパンでIT分野のシニア・アナリストととして国内外の主要ベンダーの戦略策定に参画。1994年に情報技術研究所(現アイ・ティ・アール)を設立し、代表取締役に就任。2019年2月より現職。


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