失敗から学んだマーケティングの重要性

「星を取る」という言葉のとおり、レストラン ソラは、オープンから1年少しでミシュランの一つ星を獲得します。そのとき、もっとも重要だったのは、マーケティングでした。

「シンガポールのときは、まったく知り合いもいなくて、オープン1〜2ヵ月は、誰も来なかったんです。お金もかけられなかったので、ただでプレスを招待してランチを開いたり、コツコツコツコツやって、やっと3〜4ヵ月目くらいから、毎日のように満席になる店にできたんです」

 日本ではそれほどでもありませんが、ヨーロッパで星を取るためには、ジャーナリストと良好な関係を築くことが求められます。彼らに自分の料理を知ってもらって、いい評価をもらうことがPRになり、その評判がミシュランにも伝わるからです。

「日本で働いていたときも、シンガポールにいるときも、マーケティングなんてまったく考えていませんでした。でも、のちのちその重要性に気づいたんです。シンガポールでの経験から、何をすればいいか、どこにお金をかけなきゃいけないかもわかったので、パリの店ではある程度スムーズにいきましたね」

 ここでも、かつての経験が生きていました。実践することで失敗し、さらにその失敗から学ぶことができるのも、評価を受けるシェフに共通している要素だと思います。

日本人であることのメリットのほうが大きい<br />【フランス「レストラン ソラ」吉武広樹シェフ】(後編)

本田直之(ほんだ・なおゆき)
レバレッジコンサルティング株式会社代表取締役社長。
シティバンクなどの外資系企業を経て、バックスグループの経営に参画し、常務取締役としてJASDAQ上場に導く。
現在は、日米のベンチャー企業への投資事業を行うと同時に、少ない労力で多くの成果をあげるためのレバレッジマネジメントのアドバイスを行う。
日本ファイナンシャルアカデミー取締役、コーポレート・アドバイザーズ取締役、米国Global Vision Technology社取締役、Aloha Table取締役、コポンノープ取締役、エポック取締役などを兼務。
東京、ハワイに拠点を構え、年の半分をハワイで生活するデュアルライフをおくっている。
著書に、レバレッジシリーズをはじめ、『あたらしい働き方』『Less is More』(ダイヤモンド社)『ノマドライフ』(朝日新聞出版)『パーソナル・マーケティング』(ディスカヴァー・トゥエンティワン)などがあり、著書累計250万部を突破し、韓国、台湾、中国で翻訳版も発売されている。
著者のプロデュースも行っており、50万部を突破した『伝え方が9割』『なぜ、「これ」は健康にいいのか?』をはじめ合計150万部を突破しいずれもベストセラーとなっている。
講演活動は国内だけでなく、アメリカ、オーストラリア、カナダ、中国、シンガポール、韓国、香港、台湾など海外でも行っており、学生向けには早稲田、慶応、明治、一橋、筑波、立教、法政、上智など様々な大学で講演を行っている。
サンダーバード国際経営大学院経営学修士(MBA)
明治大学商学部産業経営学科卒
(社)日本ソムリエ協会認定ワインアドバイザー
アカデミーデュヴァン講師
明治大学・上智大学 非常勤講師