しかし、当然のことながら、母親が仕事に就いていたかどうかや仕事の勤務状況など、他のほとんどの質問項目では、ほとんど不登校傾向にあるかどうかの差がなかったという。

 そもそも、家庭内の養育の調査だけで、どうやって不登校の根本原因を探れるのか。また、母親の仕事が不登校に影響するという根拠がどこかにあったのか。市教委の担当者に聞くと、こう説明した。

「学校での取り組みがいろいろなされているけど、なかなか改善できない。そこでもっと遡って、家庭の状況を探ろうということになったようです。震災の影響については、県が調査している。これまでこういうデータもなかったし、家庭内の状況については、なかなか踏み込んで聞けなかった。今後は、さらに細かい事例についての分析や呼びかけなども必要かもしれない」

 市の協議会が設定したという、母親の愛情不足や家庭内の養育状況に不登校の要因があるのではないかと決めつける認識にはズレを感じる。しかし、家庭内の厳しいしつけと不登校に関係性があったというデータは、結果的には「瓢箪から駒」のように、きっかけとなる背景を導き出すことになった。

(池上正樹)

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