アーノルド・シュワルツェネッガー・カリフォルニア州知事が1月8日、財政非常事態宣言をした。昨年7月に引き続き2度目である。

 2009~10年度(09年7月~10年6月)当初予算に比べて、個人所得税収が大きく落ち込んだためだ。雇用悪化、株価停滞によるキャピタルゲイン税の減収が響いた。今年度残り6ヵ月で66億ドル、来年度で133億ドルの歳入が不足する見通しだ。

 同州は州法によって教育関連の支出の多くを削減することができない。昨年7月の非常事態宣言時の予算においても、教育関連の支出は温存され危機を再発させる一因となった。

 シュワルツェネッガー知事は非常事態宣言とともに修正予算を議会に提出したが、その評判はさんざんだ。連邦政府からの支援を69億ドル見込んでいるが、「連邦政府が財政支援を行う可能性は低い」(安蒜信彦・三菱UFJ証券シニアクレジットアナリスト)と見られるからだ。“身内”である州政府の財政アナリストも支援は非現実的であると批判している始末である。

 米国50州中、09年7~9月期の州税収が前年比で増えたのはニューハンプシャー州とロードアイランド州のわずか2州。26州が2ケタ減となった。非常事態宣言に至らないまでもほとんどの州が財政悪化に苦しんでいる。連邦政府としてカリフォルニア州だけを支援するわけにいかない。そもそも連邦政府は各州に対し自助努力で解決するよう促すスタンスを変えてはいない。

 歳入確保策には約3億ドルの罰金収入増もある。交差点に監視カメラを増設し、スピード違反取り締まりを強化しようと目論むが、絵に描いた餅に終わる恐れは容易に想像できる。シュワルツェネッガー知事の迷走ぶりが浮かび上がる。

 シュワルツェネッガー知事提案の予算案が可決に必要な議会の3分の2の賛成を得ることは難しい。今年11月に退任を控えたシュワルツェネッガー知事のレームダック化に拍車がかかることは確実だ。

(「週刊ダイヤモンド」編集部 竹田孝洋)

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