ダイヤモンド社のビジネス情報サイト
コンテンツ業界キャッチアップ

任天堂だからこそできることは必ずある
市場調査では生み出せない前代未聞な商品を届けたい
――岩田 聡・任天堂社長インタビュー【後編】

石島照代 [ジャーナリスト]
【第52回】 2014年5月2日
著者・コラム紹介バックナンバー
previous page
2
nextpage

岩田 あと、最近の若い人たちを気の毒に思うのは、コミュニケーション能力をむやみに問われることです。最初から上手にできる人なんていないはずなのに。

 確かに世の中では、ひとりでできることなんて限られていて、人の力を借りないとたいしたことはできないですから、誰だって「どうしたら他の人とうまく一緒にやれるか」ということは考えますし、これが世の中でコミュニケーション能力が必要とされる理由です。

 でも実際にはいろんな人がいて、例えば自分が善意100%で行動しているのに、まるで悪意100%であしらわれたように感じることがありますよね。それが「相性が悪い」ということなのかもしれませんが、たまたま相性がすごく悪い人がいても、その人が世の中のありとあらゆる人とうまくいっていないというケースはあまりないでしょう。

 だとすると、そのコミュニケーションの失敗は、「その人に合ったコミュニケーションができていないこちらの問題」とも言えるんです。そう考えると「今回は失敗したけれど、どんなアプローチでこの人と接したらいいかな」って考えることができるんです。

 私は30歳くらいで「コミュニケーションがうまくいかないときに他人のせいにしない」ということを決意して、それ以来できるかぎりそうしてきました。大変ではありましたが、結果的に良かったと思っています。これは、自分の体験として、毎年、会社説明会で学生さんに話しています。アンケートの反応を見ていると、学生さんの印象に残る話みたいですね(笑)。

プロとアマチュア境目が見えにくいなか
任天堂はプロ集団として勝負し続ける

――ネットの発達がもたらした大きな変化は、ドワンゴの「ニコニコ動画」などで表現する場が増えたことで、自己表現して食べていける人が増えたということです。プロとアマチュアの境目は、ゲームや原稿などのコンテンツビジネスの場合ないのだと、自戒を込めて思います。

previous page
2
nextpage
IT&ビジネス
クチコミ・コメント

facebookもチェック

石島照代
[ジャーナリスト]

1972年生まれ。早稲田大学教育学部教育心理学専修を経て、東京大学大学院教育学研究科修士課程在籍中。1999年からゲーム業界ウォッチャーとしての活動を始める。著書に『ゲーム業界の歩き方』(ダイヤモンド社刊)。「コンテンツの配信元もユーザーも、社会的にサステナブルである方法」を検討するために、ゲーム業界サイドだけでなく、ユーザー育成に関わる、教育と社会的養護(児童福祉)の視点からの取材も行う。Photo by 岡村夏林

コンテンツ業界キャッチアップ

ゲームソフトをゲーム専用機だけで遊ぶ時代は終わった。ゲーム機を飛び出し、“コンテンツ”のひとつとしてゲームソフトがあらゆる端末で活躍する時代の、デジタルエンターテインメントコンテンツビジネスの行方を追う。

「コンテンツ業界キャッチアップ」

⇒バックナンバー一覧