ネット上の情報は
正確性が保証されていない

 ビジネス環境に革命的な変化をもたらし、多くの新たな可能性を提供したインターネットだが、同時に、インターネットを経由しての企業の情報資産に対する攻撃なども増加している。

 情報漏えい対策や内部統制対策を講じるためにも、インターネットの特性をよく理解する必要があり、その上で、インターネット「社会」の社会的責任のあり方を検討するというスタンスが必要となる。

 インターネット上にはさまざまな情報が公開されており、誰でも簡単に入手することができる。しかしネット上に公開されているからといって、正確性や信憑性が保証されているわけではない。情報収集に当たっては、インターネットだけに頼らず、必要に応じて関連文献にも当たるなど正確性や信憑性について確認する必要がある。

 従来のメディアでは考えられなかったほど手軽に情報発信ができることもインターネットの特性の一つだ。しかし、その手軽さゆえに、誤った情報を発信したり、機密情報を漏えいする可能性も大きいのだ。その場合に失う信用の大きさもまた計り知れない。

匿名性のメリット・デメリット

 匿名性もインターネットの特徴の一つだ。社会的属性に縛られず自由な議論ができるのは大きな利点と言えるだろう。だが、それが悪用されることも少なくない。ネット詐欺や、デマ・中傷の流布、なりすましなど、匿名性を悪用した違法行為は枚挙にいとまがない。匿名性はインターネットの世界を大きく広げるというポジティブな面がある一方で、匿名であるが故にさまざまなリスクを内包していることを忘れてはならない。

 会社でインターネットを利用する場合はとくに注意が必要だ。メールやホームページに入力した情報が何者かに覗かれたり、内容を改ざんされる恐れもあるので、企業機密を守るリスクマネジメントが必要である。

 Webブラウザのセキュリティホールを悪用し、ネット上に罠を仕掛けて待ち伏せる受動的攻撃と呼ばれる手口もあるので、怪しげなサイトは閲覧しないことが肝心である。

 大切な情報を被害から守り安全性を確保するためには、インターネットリテラシー(インターネットを利用する上での知識や技術能力)を高める教育を行なう一方、暗号化やセキュリティ対策の導入など、常に最新の技術に基づいた対策を採ることが求められる。

インターネット利用で不安に感じること

(第2回は4月15日公開予定)

出典:『ネット時代のビジネスマナー 情報モラルの基礎知識』