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シリコンバレーで考える 安藤茂彌

オバマ政権と二人三脚で技術革新を進めるシリコンバレー

安藤茂彌 [トランス・パシフィック・ベンチャーズ社CEO、鹿児島大学特任教授]
【第19回】 2009年6月4日
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9. モバイル機器を使ったデジタルサービスの高度化

 全世界ベースで見ると、モバイルの利用者はPC利用者の4倍にものぼる。特に新興国でのモバイルユーザーの増加は著しく、この層は音声よりもデータサービスに強い関心を寄せている。新興国でのワイヤレス・ブロードバンドの普及により、メール、音声、生活に便利なツール、マイクロブロギング、ゲーム、ビデオ、電子商取引、マイクロペイメント、写真、位置ベース・サービスが急速に広がるだろう。

10. 電子ディスプレイへの投資の増加

 薄くてフレキシブルなカラー・スクリーンを装備した電子ディスプレイの開発会社に、VCは2008年に前年比28%増の投資を行なった。電子ディスプレイの技術高度化は2009年も続くだろう。

 10のトレンドはおおむね予想された範囲であったが、電池の開発とディスプレイの開発が列挙されたのは注目に値する。両分野とも日本企業が強い競争力を持っている分野である。特に電池は、電気自動車にも必要になるし、太陽光発電、風力発電といった非連続型発電にも必要になる。これは電力会社のみならず、家庭で屋根に太陽光発電のパネルを設置した場合にも必要になり、このマーケットは今後大きく拡大すると考えられる。

 この会合では、番外編として11番目のトレンドも披露された。それは、

11. オバマ政権は最も投資成績の悪いVCとして後世に名を残すだろう

 VCが投資したベンチャー企業は米国の雇用創出と富の蓄積に最も大きな貢献をしている。グーグル、ヤフー、アマゾン、イーベイは皆VC投資で大きくなった企業である。VCの専門知識を持たないホワイトハウスが特定の技術に公的資金を投入したところで、決して良い投資成績を出せないだろう。どの技術が有望かの選択はVCに任せればよい。

 と言うものだった。これには会場からどっと笑いが起こった。筆者も笑った。だが、今回披露された10項目のうち4項目は連邦政府の予算配分があることを支援材料にしていた。逆にオバマ政権にどの技術が有望かについて「入れ知恵」をしたのもシリコンバレーのVCであろう。シリコンバレーとオバマ政権は二人三脚でアメリカの成長路線を描いていく「共謀者」だと納得した。

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安藤茂彌
[トランス・パシフィック・ベンチャーズ社CEO、鹿児島大学特任教授]

1945年東京生まれ。東京大学法学部卒業後、三菱銀行入行。マサチューセッツ工科大学経営学大学院修士号取得。96年、横浜支店長を最後に同行を退職し渡米。シリコンバレーにてトランス・パシフィック・ベンチャーズ社を設立。米国ベンチャービジネスの最新情報を日本企業に提供するサービス「VentureAccess」を行っている。VentureAccessホームページ

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シリコンバレーで日本企業向けに米国ハイテクベンチャー情報を提供するビジネスを行なう日々の中で、「日本の変革」「アメリカ文化」など幅広いテーマについて考察する。

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