今でこそ全国でも13番目に面積が広い静岡県だが、江戸時代までは3つの国に分かれていた。もともと現在の静岡市がある一帯は徳川家康との深いつながりもあって、幕府直轄だったし、東部の伊豆半島一帯、西部の浜松市や磐田市を中心とするエリアもそれぞれ別の国であった。それが明治維新、さらに廃藩置県の実施により1つの県になったのである。そうした歴史的事情もあってか、静岡県といっても旧伊豆国、西部の旧遠江国(遠州)、そして静岡市周辺の旧駿河国とでは、人々の気質も大きく異なっている。

 全体的には、温暖な気候の影響で穏やかでのんびりしているといわれる。確かに、静岡県は九州の宮崎県と並んで、冬でもコートを着る必要がないといわれるほど暖かい。それに加え、南側には海(太平洋)が広がっているから、明るく開放的でもある。ただ、旧遠州エリアだけは、温暖とはいえ、年中強い風が吹き抜けるという厳しい条件があった。

 そのため、中央部の旧駿河国と違い、何事につけ厳しいものの見方、また、現状に甘んじない進取の気性が培われたようである。ヤマハやスズキなど、静岡県の国際的な企業といえばほとんどがこの地域に集中しているのもそうしたことの影響だろう。そういえば、愛知県代表のように思われている現トヨタグループの創始者・豊田佐吉もこの地域の出身である。ビジネス感覚も旧駿河国などより数段シビアなところがあり、愛知県とのつながりは今でも深い。

静岡市より東側は東京との結びつきが強い

 旧遠州エリアに対するライバル心からか、静岡市より東側の地域は東京との結びつきが強いようだ。首都圏の人々の行楽地として昔から親しまれている伊豆に、愛知・岐阜の人はあまり足を向けない。その意味で、今年夏に開港予定の富士山静岡空港の位置はビミョーだ。

 そんな静岡県だから、場所によって付き合い方を考慮してかかる必要がある。中央から東のエリアで、あまりシビアな言動をするのは敬遠されるだろうし、逆に、旧遠州エリアでは甘いものの見方を披瀝するのは禁物である。

◆静岡県データ◆県庁所在地:静岡市/県知事:川勝平太/人口:378万6349人(H21年)/面積:7780平方キロメートル/農業産出額:2308億円(H19年)/県の木:もくせい/県の花:つつじ/県の鳥:さんこうちょう

<データはすべて、記事発表当時のものです>

【お詫びと訂正】初出時、本文中に「県民総所得の大半を稼ぎ出している旧遠州エリア」との記述がありましたが、編集部のデータ確認ミスによる誤りでした。「県民総所得の大半を稼ぎ出している」の部分を削除させていただくとともに、関係者、読者の皆様に深くお詫び申し上げます。