自分の意思を他人に伝えるには
「理解、納得、共感」の3段階がある

 “物事を腹落ちさせる”。つまり、自分の意思(意志)が他人に伝わるということには3段階あると思っている。

 1段階目は「理解する」。意味がわかる。知識として理解する。ただ、知識として理解したからといって、本当に行動に移すかというと、私はそうは思わない。そのためには、理解からもう一段深まった伝わり方をする必要がある。

「納得」である。“腹に落ちる”という意味だ。この言葉は、得を納めると書く。損得の得である。

 つまり、その行動をとることによって自分にどんな意味があるのか。あえて言うならば、自分に得があるのか。あるいは、やらないことに対するマイナスの効果はあるのか。やったことで自分にプラスがあって、やらないことでマイナスがあるなら、「やってみよう」となるのは当然だろう。納得というのは、こういう意味なのかと、ある時、合点がいった(ただし、この解釈は私の勝手な考えである。本来の意味ではないことを付記しておく)。

 さらに先もある。それは「共感」である。頭の中で感じるだけでなく心で感じる。それがどれだけ大切なことなのか、素晴らしいことかが感覚的にわかる。感情的にわかるのが共感である。

 ここまで来ると、そのことの効果を腹から信じているので、その人は他の人を引きずりこもうとする。お店で言えば、客が客を呼ぶという連鎖だ。顧客が、自ら伝道者になってくれる。自分が行動するだけではなくて、他人にも同じ行動を促そうとする。リーダーシップの発揮である。

 つまり、それを聞く相手に望ましい行動を起こさせ、さらに、リーダーシップの連鎖を起こす。ここまで来て初めて、“伝わった”と言っていいのではないかと思う。

皆が自分事化できるような
メッセージを語るのもリーダーの役目

 ちなみに、ビジョンの自分事化に関して言えば、「納得の段階」だと思う。

前回紹介した本田技研(以下、ホンダ)のCVCCエンジンの開発秘話においても、自分事化を誘発する場面があった。