アマゾンが独自開発したスマホ「Fire」。米国AT&Tが199ドル~649ドルで7月25日に発売予定 Photo:amazon.com

ついに出たアマゾンのオリジナルスマホ
独自機能に賛否両論

 アマゾンがとうとう自社製スマートフォン、「ファイアー(Fire)」を発表した。裸眼で3D画像が見られるスクリーンなど、珍しい機能が搭載されると噂されていたが、明らかにされたその詳細には賛否両論が飛び交っている。

 ひとことで言って、ファイアーはアマゾン的なスマートフォンだ。アマゾン的というのは、インターネット商人性とギークさを兼ね備えているところ。ユーザーにアマゾンの商品を買ってもらい、アマゾンのサービスを使ってもらうための工夫が満載されていると同時に、「一体何に使うのか」といった機能も搭載されているということだ。

 一方、アマゾン的でない大きなポイントもある。それは価格だ。これまでアマゾンのハードウェアの魅力と言えば、他社にはとうてい真似のできない低価格だった。電子書籍リーダーのキンドル、そしてタブレットのキンドルファイアーでも、赤字覚悟で他社製品より数段安い価格で売り出すことがアマゾンの特徴。

 同社の狙いは、デバイスで稼ぐよりも、ユーザーにアマゾンのエコシステムに深く関わってもらい、そこで全体として売上を上げることだからだ。今回の初めての同社製スマートフォンも格安価格で売り出すものと期待されていたのだが、それが裏切られた。その面では、落胆の声が上がっている。

 もう少し詳しく説明しよう。

 まず、デバイスとしてのファイアーは、ハードウェアとソフトウェアの点で実に新奇な特徴がいろいろある。そのひとつは操作方法だ。

片手で操作できるように工夫

 ファイアーは片手での操作を全面に打ち出している。つまり、左手にスマートフォンを持ち、右手でタッチやスクロールをするのではなく、手に持った左手(あるいは右手)だけでページが繰れたり、画像を拡大したり、メニューを呼び出したりできるというものだ。その操作は、スマートフォンを左右に傾けたり前後に倒したりして行う。

 同社ではこれを「ダイナミックパースペクティブ」と呼んでいて、これまでのようなもどかしい複数のタップなしに、必要とする情報にすぐにアクセスできることをアピールしている。