日本航空が「自主再建」の看板を下ろし、6月末に公的支援の下で資金調達した。危機はさらに深まり、第1四半期の営業成績はどん底。支援の条件とされた企業年金制度改定も風前の灯火。630億円という大幅赤字予想すら達成が厳しい事態に陥っている。国主導の再建シナリオは遂行されるのか。その行方とともに、赤字を繰り返す企業構造の深層に迫った。(取材・文/『週刊ダイヤモンド』編集部 臼井 真粧美)
6月23日、東京都千代田区の日本武道館で日本航空(JAL)の定時株主総会が開催された。
経費削減状況、競合他社との収益力の差、企業年金制度改定、燃油ヘッジ損など、株主から経営に関する質問が相次いだが、経営陣は儀礼的な回答でそのすべてをかわした。ろくな説明もできないまま、やじにまみれて総会は終了した。
同日同時刻、千代田区永田町では参議院の財政金融委員会が開かれ、与謝野馨財務相、加納時男国土交通副大臣、前田隆平国交省航空局長らが民主党の峰崎直樹議員からJAL支援について厳しい質疑を受けた。
前日の22日に河村建夫官房長官、与謝野財務相、金子一義国交相の3閣僚が会談し、JALを政府支援する方針が確認されていた。
当事者のJALは、株主総会と重なったため委員会への参考人出席が免除され、政府がJALのぶんも答弁を肩代わりした。
いまや“まな板の上の鯉”
当事者能力を失う経営陣
峰崎議員「(JALは前期)631億円の赤字でした。来年の3月期は経営改善を努力しますということを前提にして、どのぐらいの赤字だというふうに言っているんですか」
加納副大臣「630億円の赤字だったんではないかと思います」
峰崎議員「もう事実上債務超過じゃないか。要するに航空、いわゆる人や物を運ぶ事業が黒字になっていないというところがいちばん大きい問題じゃないですか」